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【微積分】テイラー展開とマクローリン展開②~1変数関数ex,cosx,sinx編~

微積分

 前回

からの続き。

 今回から本格的にテイラー展開とマクローリン展開の計算手法を見ていく。
 まずは1変数関数のテイラー展開とマクローリン展開から。

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1変数関数の場合の一般論

 任意の一変数関数f(x)のk階の導関数をf(k)(x)とおく。このときx=aのまわりでf(x)

f(x)=k=0f(k)(a)k!(xa)k=f(a)+f(1)(a)(xa)+f(2)(a)2!(xa)2+

と展開できる。
 (1)の無限級数を、関数f(x)aのまわりでのテイラー級数と呼び、関数をテイラー級数で表現することをテイラー展開という。

 特にa=0のときのテイラー級数

f(x)=k=0f(k)(0)k!xk=f(0)+f(1)(0)x+f(2)(0)2!x2+

f(x)のマクローリン級数と呼び、関数をマクローリン級数で表現することをマクローリン展開という。
 要は、マクローリン展開はテイラー展開のx=0周りの展開バージョンなのだ。

指数関数exのマクローリン展開

 早速、習うより慣れろと言うことで、有名なマクローリン展開をいくつか見ていく。

 

 まず、最も有名なマクローリン展開とも言える、指数関数f(x)=exのマクローリン展開だ。

 指数関数f(x)=exの微分はf(1)(x)=ex=f(x)となって元の関数に戻るから、以下帰納的に任意の0以上の整数kについてf(k)(x)=exである。

 よってマクローリン展開ではx=0だから、f(k)(0)=e0=1となって、導関数の部分はすべて1になる。

 その結果、結局残るのは階乗とxの累乗のみとなり、(2)より

ex=k=0xkk!=1+x+x22!+x33!+

と、かなりシンプルな展開になる。

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三角関数cosx,sinxのマクローリン展開

 さてここで、xixと置き換えて(3)を書き直してみる。

eix=k=0(ix)kk!=1+ix+(ix)22!+(ix)33!+(ix)44!+(ix)55!+=1+ixx22!ix33!+x44!+ix55!+

 (4)の最右辺をさらに実部と虚部に分ける。

eix=(1x22!+x44!+)+i(xx33!+x55!+)

 よって、ここでオイラーの公式eix=cosx+isinxを思い出せば、(5)と対比して三角関数cosx,sinxのマクローリン展開

cosx=k=0(1)k(2k)!x2k=1x22!+x44!x66!+sinx=k=0(1)k(2k+1)!x2k+1=xx33!+x55!x77!+

が得られる。

 sinxのマクローリン展開(7)なんかは、有名な極限式limの計算にも一役買い、

\begin{align} \lim_{x\to 0}\frac{\sin(Ax)}{x}&=\lim_{x\to 0}\frac{1}{x}\sum_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{k}}{(2k+1)!}(Ax)^{2k+1} \\ &=\lim_{x\to 0}\frac{1}{x}\left\{Ax-\frac{(Ax)^{3}}{3!}+\frac{(Ax)^{5}}{5!}-\frac{(Ax)^{7}}{7!}+\cdots\right\} \\ &=\lim_{x\to 0}\left\{A-\frac{(Ax)^{2}}{3!}+\frac{(Ax)^{4}}{5!}-\frac{(Ax)^{6}}{7!}+\cdots\right\}=A \tag{8}\label{sinx/xの導出} \end{align}

とわかりやすい式変形で計算できる。

 

 さて、ここまで来たら\tan xのマクローリン展開も出したいところがだが、長くなるので記事を改めることにする。

 

 下記に続く。

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