【論語】お気に入り集③~泰伯第八・子罕第九・先進第十一・顔淵第十二~

論語

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泰伯第八

子曰、
民可使由之、
不可使知之。

いはく、
たみこれらしむし、
これらしむからず。

先生が言うには、
「人民を従わせることは簡単だが、
 その理由を理解させるのは難しい」

 両者に能力差がある限り、これは不変なんだろう。

 そしてこれにつけこんで人民から搾取する者も絶えることは無いのだろう。

子罕第九

子曰、
三軍可奪帥也、
匹夫不可奪志也。

いはく、
ぐんすゐうばふべし、
匹夫ひつぷこころざしうばふべからざるなり。

先生が言うには、
「大軍の将を捕らえることはできるが、
 道理を持たない男でも、その志を奪うことはできない」

 こちらも論語の中で有名な一節の一つだろう。

 どんな人間でも、その意思を自由に動かすことはできないという、人間の意思の強固さを述べたもの。

先進第十一

季路問事鬼神。
子曰、
未能事人、焉能事鬼。
曰敢問死、
未知生、焉知死。

季路きろ鬼神きしんつかへむことをふ。
いはく、
いまひとつかふることあたはず、いづくんぞつかへむ。
あへふ。
いはく、
いませいらず、いづくんぞらむ。

季路が死者の御魂への仕え方について訊ねた。
先生が言うには、
「まだ人に仕えることも十分にできないのに、なぜ死者の御魂に仕えることができようか」
季路は更に死について訊ねた。
先生が言うには、
「まだ生について理解していないのに、なぜ死について理解できようか」

 論語に宗教性はないことを示す一節。

  

子貢問、師與商也孰賢。
子曰、師也過、商也不及。
曰、然則師愈與。
子曰、過猶不及。

子貢しこうふ、しやうとはいづれかまされる。
いはく、ぎたり、しやうおよばずと。
いはく、しからばすなはまされるか。
いはく、ぎたるはおよばざるがごとし。

子貢が先生に訊ねた。「子張(師)と子夏(商)ではどちらが優秀でしょう?」
先生が言うには「子張は行き過ぎていて、子夏は足りないものがある」
子貢が言う。「では子張の方が優秀ということでしょうか?」
先生が言うには「行き過ぎていることは足りないことと同じだよ」

 故事成語「過ぎたるは及ばざるがごとし」の原典。

 足りないのはダメだが行き過ぎてもダメ、ほどほど(中庸)が大事だと説いた一節。

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顔淵第十二

顏淵問仁。子曰、克己復禮爲仁。
一日克己復禮、天下歸仁焉。
爲仁由己。而由人乎哉。
顏淵曰、請問其目。
子曰、非禮勿視、非禮勿聽、
非禮勿言、非禮勿動。
顏淵曰、回雖不敏、請事斯語矣。

顏淵がんえんじんふ。いはく、おのれちてれいむをじんす。
じつおのれちてれいめば、天下てんかじんす。
じんすはおのれる。ひとらむや。
顏淵がんえんいはく、もくふ。
いはく、れいあらざればることなかれ、れいあらざればくことなかれ、
れいあらざればふことなかれ、れいあらざればうごくことなかれ。
顏淵がんえんいはく、くわい不敏ふびんいへども、こととせむ。

顔回が「仁」について訊ねた。先生が言うには「己に打ち克って礼に立ち返るのが仁だ。
一日でも己に打ち克って礼に立ち返れば、天下は仁に落ち着く。
仁の実践は自分次第だ。人頼みではできない」
顔回が言う。「具体的な実践方法を教えて頂けますか」
先生が言うには「礼に外れたものを見ず、礼に外れたことを聞かず、
礼に外れたことを言わず、礼に外れた行動をしないことだ」
顔回が言う。「私は未熟者ではありますが、教えて頂いたことを実践したいと思います」

 四字熟語「克己復礼」の原典。

 克己復礼の実践が仁の実践であると説いている。

 

仲弓問仁。
子曰、
出門如見大賓、
使民如承大祭。
己所不欲、勿施於人。
在邦無怨、在家無怨。
仲弓曰、雍雖不敏、請事斯語矣。

仲弓ちうきうじんふ。
いはく、
もんでては大賓たいひんるがごとく、
たみ使つかふには大祭たいさいつかうまつるがごとくす。
おのれほつせざるところひとほどこすことなかれ。
くにつてもうらみく、いへつてもうらみし。
仲弓ちうきういはく、よう不敏ふびんいへども、こととせむ。

仲弓が「仁」について訊ねた。
先生が言うには、
「外に出たら大切な客のように人に接し、
 人民を使役する際は大切な祭りに仕えるようにしなさい。
 自分がされたくないことを、他人にしてはならない。
 (そうすれば)国にいても恨まれず、家庭においても恨まれない」
仲弓が言う。「私は未熟者ではありますが、教えて頂いたことを実践したいと思います」

 故事成語「己の欲せざる所 人に施すことなかれ」の原典。

 こちらも、仁の実践の仕方として説いている。

 

子張問政。
子曰、
居之無倦、
行之以忠。

子張しちやうまつりごとふ。
いはく、
これるにむことなく、
これおこなふにちうもつてす。

子張が政治について訊ねた。
先生が言うには、
「その地位にあって怠ることなく、
 実行する際に真心を忘れないことだ」

 孔子が政治家の在り方を説いた一節。

 これを実行している政治家が果たして現代に何人いるだろうか。

 

 次回はこちら。

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