前回
からの続き。
今までは1変数関数のマクローリン展開を中心に見てきたが、今回は多変数関数のマクローリン展開を扱う。
ただし計算が複雑になるので、今回は例は簡単なものに留めておく。
多変数関数の場合の一般論
任意のn変数関数f(x1,x2,…,xn)のマクローリン展開は
f(x1,x2,…,xn)=∞∑k=01k!(n∑i=1xi∂∂xi)kf(x1,x2,…,xn)|xi=0
と表される。
特に2変数関数f(x,y)の場合は
f(x,y)=∞∑k=01k!(x∂∂x+y∂∂y)kf(x,y)|x,y=0
と書け、2次の項まで展開すると
f(x,y)=f(0,0)+{∂f(x,y)∂x|x,y=0}x+{∂f(x,y)∂y|x,y=0}y+12{∂2f(x,y)∂x2|x,y=0}x2+12{∂2f(x,y)∂x∂y|x,y=0+∂2f(x,y)∂y∂x|x,y=0}xy+12{∂2f(x,y)∂y2|x,y=0}y2
となる。
例
次の2変数関数を考える。
f(x,y)=ex2+y2
この2変数関数f(x,y)を2次の項までマクローリン展開する。
まず、f(x,y)の偏微分を計算しておくと、
∂f(x,y)∂x=2xex2+y2∂f(x,y)∂y=2yex2+y2∂2f(x,y)∂x2=2ex2+y2+4x2ex2+y2∂2f(x,y)∂y∂x=4xyex2+y2∂2f(x,y)∂x∂y=4xyex2+y2∂2f(x,y)∂y2=2ex2+y2+4y2ex2+y2
となる。よってそれぞれx,y=0を代入すると、
∂f(x,y)∂x|x,y=0=0∂f(x,y)∂y|x,y=0=0∂2f(x,y)∂x2|x,y=0=2∂2f(x,y)∂y∂x|x,y=0=0∂2f(x,y)∂x∂y|x,y=0=0∂2f(x,y)∂y2|x,y=0=2
となるため、これらを(3)に代入すれば、
f(x,y)=1+x2+y2
が得られる。
さて、本当に(5)がx,y=0付近で(4)を再現しているか、グラフで確かめてみる。

上の3つのグラフにおいて、橙色が(4)、青色が(5)である。
右に向かうに従ってグラフの表示範囲が狭くなっており、それに従って2つのグラフが良い一致を見せているのがわかるだろう。
終わりに
ここでひとまず、テイラー展開とマクローリン展開に関する記事は一区切りつけようと思う。
本当のところを言うと、最初に紹介したテイラー展開とマクローリン展開の公式の右辺は発散する場合があり、必ずしも正しいとは言えない。
だがその話に取り掛かるのは、テイラー展開とマクローリン展開の計算の仕方を身につけてからで問題ない。
(正直言うと、私自身もその辺はまだちゃんと理解していない。)
まずは実際に、今回例に挙げた関数の展開を自分の手で計算し直して慣れてもらいたい。
END
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