前回
からの続き。
今回は応用編。
とは言っても、内容を端的に言うと「連立1次方程式を行列を使って楽に解いてみよう」という話だ。
一般論
x1,x2,⋯,xdを変数とする連立1次方程式
{a1,1x1+a1,2x2+⋯+a1,dxd=p1a2,1x1+a2,2x2+⋯+a2,dxd=p2⋮ad,1x1+ad,2x2+⋯+ad,dxd=pd
を考える。これを下記のように、行列とベクトルを使って書き直す。
(a1,1a1,2⋯a1,da2,1a2,2⋯a2,d⋮⋮⋱⋮ad,1ad,2⋯ad,d)(x1x2⋮xd)=(p1p2⋮pd)⟹A→x=→p
よって行列Aの逆行列をA−1として、(2)の両辺に左側からかければ
A−1A→x=A−1→pI→x=A−1→p→x=A−1→p
となり、逆行列A−1を→pに左側からかければ解を得ることができる。
この解法の強みは、変数の数(方程式の数)に依存せず、逆行列さえ求めれば瞬時に答えに辿り着けるところにある。
変数2つの連立1次方程式ではあまりありがたみを感じないかもしれないが、変数が3つの場合はこの解法がその威力を発揮する。
具体例
実際に逆行列を利用して連立方程式を解いてみる。
練習問題
次の連立1次方程式を解け。
(1){6x+5y=−7x−y=8(2){−x+y+3z=−6−7x+8y+6z=5y+2z=−4
解答(1)
連立方程式を行列とベクトルで書き直すと、
(651−1)(xy)=(−78)⟹A→x=→p
と書ける。ここで行列Aの逆行列を求めると、
A−1=1−6−5(−1−5−16)=111(151−6)
となるため、これを利用すると、
→x=A−1→p(xy)=111(151−6)(−78)=111(−7+40−7−48)=111(33−55)=(3−5)
となる。よって、求める解はx=3,y=−5となる。
解答(2)
連立方程式を行列とベクトルで書き直すと、
(−113−786012)(xyz)=(−65−4)⟹A→x=→p
と書ける。ここで行列Aの逆行列を求めると、
A−1=117(−10−118−142157−11)
となるため、これを利用すると、
→x=A−1→p(xyz)=117(−10−118−142157−11)(−65−4)=117(−1734−51)=(−12−3)
となる。よって、求める解はx=−1,y=2,z=−3となる。
終わりに
今回紹介した逆行列を応用した解法はあくまで解法の1つであって、毎回これを使う必要はない。
うまい計算方法を見つけ出すのが早いか、何も考えずに逆行列を求めるのが早いか、それは問題によるだろうから、解きやすい方法で解けばよい。
それでも、変数が4以上の場合は何も考えず逆行列を求めてしまった方が早いと思う。
(前回紹介したガウスの消去法は任意のd次の正方行列で適用可能である。)
次回は完全に暗記系の記事になるが、今後登場する特殊な行列を紹介しようと思う。
END
※追記
今後必要な知識となる、特別な行列の記事を執筆。
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