すでにたくさんの人が言っていることかもしれないが、思うところがあって書きたくなった話。
会社の会議にて
製品の営業会議にオブザーバーとして出席したときのこと。
とある製品の受注実績が芳しくなく、営業担当がその上司に小言を言われ続けていた。
(会議の場でそれをやるのもどうかと思うが。)
ただ引き合い案件をまとめて共有するだけじゃダメだろう?
失注したものはなんで失注したのかちゃんと分析しないと。
逆に受注が取れたものは何が理由で受注が取れたのか、それを分析してまとめれば狙い目の顧客層が見えてくるはずだろう?
なんでそういう当たり前のことをしないんだよ。
その営業担当も新人ではなく、もう長年にわたってその製品を担当してきた、いわばベテランに属する人だ。
だが、営業担当の人も覇気がない、というか「あーはい」みたいな感じでほとんど生返事状態。
正直うざったいけど上司が言っていることは正論だから「はい」って言うしかない、そんな印象だった。
正論だけじゃ人は動かせない。
うちの会社にはこんな風に、正論を並べてなじり続ける上司と、正論であるがゆえに反論できずに委縮して押し黙る、もしくは生返事をしてその場を乗り切ろうとする部下、という構図を結構見かける。
そしてその様子を見るたびに、大学時代の先輩の話を思い出す。
高校時代に部活の後輩がミスしちゃって、正論並べて叱り続けたら泣き出しちゃったんだよね。
そのときは先生に仲裁してもらったんだけど、その後先生から「世の中正論だけじゃ通じないこともあるんだぞ」って言われて、今も教訓にしてるんだ。
先輩、あなたが話していたことを、私はまざまざとこの目で見て実感していますよ。
正論を並べてなじることは、常識ある人なら誰でもできる。
でもそれをやって人がしっかり動くのなら、部下の扱い方に苦慮する上司はいなくなるはずだ。
正論を並べてなじるのは、いわば相手に対する「攻撃」だ。
「攻撃」して人が動かしたとしても、それは恐怖政治以外の何物でもなく、「攻撃」された側の人間は相手に不信感と反抗心しか抱かない。
自分はそれで構わない。
どんなに自分が嫌われようと、仕事が進むならそれでいい。
と言うのなら、どうぞそうしてもらえればよろしい。
ただ、自分を信頼してくれる人が周囲からどんどん減っていくことは覚悟してもらう。
単に部下の仕事がうまくいかなかったり、悩んでいるときにはなじるのではなくて、その理由を一緒に分析してアドバイスを与えるだけで十分だ。
なぜ相手の仕事が滞っているのか、なぜ結果が出せないのか、細かい質問を交えながら相手の状態を把握し、分析し、それを打破するアイデアを提示する。
ただしできないことにいちゃもんをつけたり、責め立てるのはご法度。
例えそれが「できて当たり前」のことだったとしてもだ。
(事実、当たり前のことができない人の方が多いのだ。)
あくまでアイデアを提示して納得してもらい、相手が気持ちよく仕事できるようにサポートする。
相手に「寄り添う」姿勢が、相手を動かすのだ。
終わりに
相手の立場に立って寄り添う、共感する。
言葉にするのはどれも簡単で、実行するのは難しいもの、とうことももうかれこれ何度言ってきたかわからない。
おそらく人間の根幹が利他的であればこういうことにはならない。
結局大半の人間の根幹は利己的なのだろう。
ただ少なくとも自分は、上記の「正論なじり上司」には絶対になりたくない。
彼らを反面教師にして、自分はこうはなるまいと絶えず言い聞かせていく。
END
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