墓は面白い。
概要
ジャーナリスト・岡崎守恭による、お墓に焦点を当てた歴史エッセイ。
江戸時代のキーパーソンたちのお墓を巡った自身の体験をもとに、お墓から見えてくる歴史を紐解く。
レビュー
誤解を恐れず言うと、自分は子どもの頃に家系図に興味を持ち、その延長線上でご先祖のお墓巡りをよくやってた。
お墓を一個一個めぐって過去碑(墓誌)を確認し、戒名、命日、名前、年齢をまとめて自分の家専用の過去帳みたいなものも作ってた。
(おかげで夏休みの自由研究のネタには事欠かなかったわけだが。)
おそらく、本書の著者も似たようなことをやって本にまとめたのだろうと思い、単純に面白そうだと思って購入した。
で、先に結論を言うと、期待していた分少し残念な部分が印象に残ってしまった。
内容としては十分面白い。
徳川家光、前田利家、赤穂浪士などの定番人物だけでなく、松平秀康といったどちらかというとマイナーな人物にもスポットを当てている。
そして彼らの歴史背景に触れた上で、それぞれのお墓の特徴から見えてくる思惑を考察している。
ただ、全体的に根本的な歴史背景の解説が不足しており、本書を読んだだけでは著者が主張したい意図が十分に読み取れない部分が多い。
文章も微妙にわかりづらい言い回しがあり、もう一度読み直すこともしばしばあった。
まあエッセイだから(単純に著者の文体と自分の性が合わなかった)と言ってしまえばそれまでだが、もう少し言い回しに関しては推敲して欲しかったというのが正直なところである。
後は気配りという点では、できれば固有名詞のルビ(ふりがな)は初出だけでなく一貫して振ってほしかった。
名前の読み方が分からず文章が頭に入ってこないこともあり、かなり勿体ない。
特に赤穂浪士の章では、浅野内匠頭、吉良上野介といった主要人物には最初からルビが振られておらず、歴史初心者には少しハードルが高い。
そもそも忠臣蔵(赤穂事件)自体、今の若い世代での知名度はほぼ皆無なので、彼らも読者のターゲットにするなら(多分してないと思うが)、赤穂事件の顛末を先に軽くでも良いから紹介するべきだろう。
終わりに
忠臣蔵が仇討の話だということは知っていたが、詳細なあらすじをちゃんと知ったのはつい最近。
昔は年末の特番でドラマを毎年のようにやっていたらしいが、自分の記憶では一回も観たことがない。
となれば、若い世代で認知度が低いことも頷ける。
というか、水戸黄門も自分はじいちゃんがファンでよく観ていたからどういうドラマかは知っているが、今の若い世代はよく知らないのでは?
END
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