【書評】渡波郁「CPUの創りかた」

電子回路

 このレベルの本を求めてたんよ。

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概要

 中学生レベルの知識のみでCPUの仕組み、動作、その創りかたを解説するCPU入門書。

 内容とアンマッチな表紙が印象的だが、本文も驚くほどノリが軽い。

 刊行が2003年と古く、扱うCPUも最小限のスペックだが、本当の意味での初学者が勉強し始めるにはちょうど良い内容が収まっている。

レビュー

 CPUは演算処理を司るデバイスである、ぐらいのことしかわからないレベルでCPUに関してはド素人な自分。

 PC好きとして、そもそも理系としてそれはどうなんだという思いと、そろそろ仕事で本格的にCPUを扱ってきそうな雰囲気が出ているので(まあこっちが主たる理由なんだが)、兎にも角にも入門書をと色々調べた結果ヒットしたのが本書である。

 

 今でこそ可愛らしいキャラクターが表紙を飾る専門書はお馴染みの存在になったが、発刊時期を考えると本書は正にその先駆け的な存在だったんだろうと思う。

 その表紙ゆえに一瞬手に取るのを敬遠するかもしれないが、肝心の内容はしっかり充実している。

 さらに文体が専門書とは対を成すレベルで親しみやすく、なんなら脱線も平気でする。

 逆にこれがネックとなり、ページ数はB5判で300ページ超えとかなりのボリュームだ。

 自分は特に気にならなかったが、文体や脱線の頻度に関しては正直好みがあると思うので、気になる方は購入前にさらっと流し読みすることをお薦めする。

 

 主題はもちろんCPUなのだが、電子回路の入門書としてもよくまとまっている。

 オームの法則や直列回路、並列回路などの中学レベルの知識は前提としているが、抵抗やコンデンサといった基本部品の説明から始まる、正に入門者向けの内容となっている。

 特に個人的には、テスターの原理、LEDの扱い方、プルアップの意味など「理解しておくべきだけどまだ頭に入り切っていない話」がわかりやすくまとまっており「これ1冊持っておけば全部確認できるじゃん」と結構トクをした気分になった。

 以前記事に書いた発振回路もクロックジェネレータとして紹介されている。

 

 主題であるCPUの解説は後半から本格的にスタートするが、さすがにここはただ読むだけでは理解しきれなかった。

 もちろん精読(回路を追って計算をして動作を確認)すればしっかり理解できる内容と構成になっている(と思う)が、二進数の計算や論理回路に不慣れな自分はそこそこ苦労する未来が見える。

 中身をモノにするには、こればかりは何回か精読を繰り返さないとダメだろう。

 

 ネックなのは大きさとやはり表紙

 電車とか移動中にでさっと出して読み進めるにはうってつけの構成なだけに、300ページ超えのB5判は勿体ない。

 せめてA5判ならまださっと出せるレベルだが、ページ数的に厳しいか?

 そして表紙に関しては電車で読む分には問題ないが、さすがに職場で使うのは憚られる。

 カバーを外して別の無地カバーをつける手もあるが、面倒だな…

 

 ちなみに本書の付録として、製作するCPUの動作をPC上で再現できるエミュレータがあり、ダウンロードサイトのリンクも巻末に掲載されている。

 20年前のリンクなんて残ってるのか?と疑いつつもリンク先にアクセスすると、ちゃんとリンク先は有効で、エミュレータのダウンロードもできた。

 動作確認はWindows2000で止まっているが、Windows10でもちゃんと動作するので心配無用である。

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終わりに

 常々思う。

 マルチタスクマジで向かない、自分。

 やりたいこともやらなきゃならないこともあるけど結局どっちつかずになってるパターンが多すぎる。

 1個でかかったけど終盤にかかってるタスクがあるからGW前には終わらせたい。

 ・・・あれ、今回の書籍と全然関係ないなこの話。

END

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