【行列】逆行列とディターミナント①~一般論と2次の正方行列~

行列

 前回

の続き。

 今回は行列において重要な概念である逆行列を紹介し、そこで登場するディターミナントという数について見ていく。


一般論

 2つの行列\(\mathsf{A},\mathsf{B}\)があり、その積が

\begin{align}
\mathsf{AB}=\mathsf{BA}=\mathsf{I}=\begin{pmatrix}1&0&\cdots&0\\0&1&\cdots&0\\ \vdots & \vdots & \ddots &\vdots\\ 0&0&\cdots&1\end{pmatrix}
\end{align}

を満たすとき、行列\(\mathsf{B}\)は行列\(\mathsf{A}\)の逆行列であるといい、\(\mathsf{B}=\mathsf{A}^{-1}\)と書く(逆もまた然り)。

 ここで導入した行列\(\mathsf{I}\)は単位行列と呼ばれ、対角成分(\(a_{i,i}\))が全て1で、それ以外はすべて0という行列だ。
 単位行列は数の掛け算でいうところの1に当たる行列で、行と列の数が同数の行列に対して積を取ると、元の行列に戻る性質を持つ。

 以下、2次の正方行列と3次の正方行列の逆行列の求め方を見ていく。

2次の正方行列の逆行列

 まずは2次の正方行列の逆行列の求め方だが、以下のようにして求める。

2次の正方行列の逆行列の求め方

① もとの行列の1,1成分と2,2成分の積から、1,2成分と2,1成分の積を引いた数を求める。
  下図のように、たすきがけに掛け算をすると覚えておくと良い。

② もとの行列の1,1成分と2,2成分を入れ替え、1,2成分と2,1成分の符号を反転させた行列を作る。

③ ①で求めた数を②で求めた行列に掛ければ、それが元の行列の逆行列になる。

\begin{align}
\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}^{-1}=\frac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d&-b\\-c&a\end{pmatrix}
\end{align}

 上の表式を見て気づいた人もいるかと思うが、行列によっては逆行列が存在しない場合がある
 それは、係数部分の分母\(ad-bc\)が0になるときだ。
 この\(ad-bc\)がディターミナントと呼ばれる数であり、行列\(\mathsf{A}\)のディターミナントは\(\text{det}[\mathsf{A}]\)と表す。
 ディターミナントが0でないとき、その行列は正則であるという。

練習問題

 次の行列\(\mathsf{A},\mathsf{B}\)が正則か否かを調べた上で、その逆行列を求めよ。

\begin{align}
\mathsf{A}=\begin{pmatrix}2&5\\3&8\end{pmatrix}\qquad\qquad\mathsf{B}=\begin{pmatrix}3&2\\6&4\end{pmatrix}
\end{align}

 解答

 まず行列\(\mathsf{A}\)について、ディターミナントを計算すると\(\text{det}[\mathsf{A}]=(2\times8)-(5\times3)=16-15=1\)となり、行列\(\mathsf{A}\)は正則であるから逆行列が存在する。
 よって上記の求め方に従って逆行列を求めると、

\begin{align}
\mathsf{A}^{-1}=\frac{1}{\text{det}[\mathsf{A}]}\begin{pmatrix}8&-5\\-3&2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}8&-5\\-3&2\end{pmatrix}
\end{align}

となる。

 続いて行列\(\mathsf{B}\)だが、ディターミナントを計算すると\(\text{det}[\mathsf{B}]=(3\times4)-(2\times6)=12-12=0\)となり、行列\(\mathsf{B}\)は正則ではない。
 よって、行列\(\mathsf{B}\)には逆行列が存在しないことがわかる。

 

 下記に続く。


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