【電子回路】NOTゲート2個の矩形波発振回路

電子回路

 NOTゲート(インバータ)を2個用いた矩形波発振回路の動作原理をようやく理解したので記事にしておく。

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回路図

 回路図は下記のようになる。

図1
図2

 上記2つの回路図はいずれも同じ回路を示している(図1の方が良く見かけるものだと思う)。

 電源が5Vの直流電源とすると、いずれも右端の白丸から5Vと0Vが一定の周期で交互に出力される。

 回路図内に電源とGNDが見つからないが、この2つはNOTゲート(インバータ)の背後に隠れていると思っていれば良い。

 電源が5Vの直流電源とすると、NOTゲートの入力が5Vなら、出力はGND(0V)に落ちる。

 逆にNOTゲートの入力がGNDに落ちているとき、出力側は5Vとなる。

 2つある抵抗のうちのRsは、NOTゲートを保護する保護抵抗である。
 (なぜこれが保護抵抗の役割を果たすのかは、後々見ていく。)

 コンデンサーは、最初は充電されていない状態であるとする。

 また、NOTゲートのスレッショルド電圧(閾値)は2.5Vとする。

スレッショルド電圧
 NOTゲートの出力が反転する境となる電圧値。
 5V入力で0V出力の状態から入力電圧を下げていく場合、2.5V入力までは0V出力が保たれ、これを下回ると5V出力に切り替わる。
 逆に0V入力で5V出力の状態から入力電圧を上げていく場合、2.5V入力までは5V出力が保たれるが、これを上回ると0V出力に切り替わる。

動作原理

 では発振原理を見ていく。

 最初にNOT1に0Vが入力されたとすると、電流は図3の青線のルートで流れる。

図3

 NOT1の入力が0Vのとき、背後にある電源から5Vが出力側に供給され、NOT1の出力側から電流が流れる。

 このとき、NOT2の入力側はNOT1の出力側と接続されているため、NOT2の入力側は5Vとなる。

 電流は電圧が低い方へ流れていくため、分岐A⇒NOT2の入力側には流れず、分岐A⇒抵抗Rのルートへ流れる(このルートは最終的にGNDに落ちる)。

 Rを通って分岐Bに差し掛かるが、保護抵抗があるルートへは電流は流れず、もう片方のルートへほとんどの電流が流れる。
 (仮にこの保護抵抗が無いと、多くの電流がそのままNOTゲートに流れてしまい、NOTゲートが故障する可能性がある。)

 コンデンサーを通過した電流は最終的にNOT2の出力側に到達し、GNDに落ちる。
 (もちろん、分岐Cの右側にも電流が流れても良い。)

 

 さて、ここで図3を下図のように描き直し、コンデンサーに着目する。

図4

 最初はコンデンサーは充電されていないが、電流が流れることでコンデンサーが充電されていき、充電電圧が大きくなっていく。

図5
図6

 充電電圧が大きくなると、コンデンサーと等電位であるNOT1の入力側の電位も充電電圧と連動して大きくなる。
 (抵抗Rsで電圧降下が起きて等電位にならないのでは?と思うかもしれないが、Rsにはほとんど電流が流れないため電圧降下は起きない。分岐Bでの電圧を\(V_{\text{B}}\)、NOT1の入力側の電圧を\(V_{\text{in}}\)、抵抗Rsを流れる電流を\(I_{\text{Rs}}\ll 1\)とすると、\(V_{\text{in}}= V_{\text{B}} – I_{\text{Rs}} Rs\simeq V_{\text{B}}\)となるため、コンデンサーとNOT1の入力側は等電位と思って良い。)

 図6は分岐Bでの電圧値\(V_{text{B}}\)と、出力側(回路図右端の白丸)の電圧値\(V_{\text{O}}\)の時間変化を示している。

 

 そして充電電圧が2.5Vに達すると、NOT1の入力側も2.5V、すなわちスレッショルド電圧に達するため、出力が0Vに切り替わる。

 ではNOT1の出力が0Vになると電流はどう流れるか。

 もう一度図2に立ち返って考えると下図のようになる。

図7
図8

 NOT1の出力が0Vであるため、NOT2の入力が0Vになり、NOT2の出力が5Vになる。

 よって今度はNOT2の出力側から電流が流れ、ちょうどNOT1の出力が5Vの場合に対して逆流していく。

 さらに、今回はコンデンサーに電荷が溜まっていることも忘れてはいけない。

 コンデンサーには2.5Vの充電電圧がかかっているため、GNDを基準とするとNOT1の入力側が7.5Vとなる(図8参照)。

 しかし、電流が逆流してコンデンサーは放電するため、7.5Vの電圧値も徐々に下がっていく。

 

 では先ほどと同様に、図6を下図のように描き直し、コンデンサーに着目してみる。

図9

 先述したように、コンデンサーの放電によってNOT1の入力側の電圧値は徐々に下がっていく。

図10
図11

 そして放電が終了すると再び充電が開始され、NOT1の入力側の電圧値はさらに下がっていく。

図12
図13

 最終的にはNOT1の入力側の電圧値が2.5V(スレッショルド電圧)まで下がるため、ここで再びNOT1の出力が5Vに切り替わる。

 

 NOT1の出力が5Vに切り替わると、図1と同じ青色のルートを辿って電流が流れる。

図14
図15

 図1ではコンデンサーには充電されていなかったが、今回はコンデンサーに2.5Vの充電電圧がかかっている。

 このときGNDを基準とすると、NOT1の入力側の電圧は-2.5Vとなる(図15参照)。

 しかし再びコンデンサーは放電するため、-2.5Vの電圧値は徐々に上がっていく。

 

 再び下図のように回路図を描き直して考える。

図16

 先述したように、コンデンサーの放電によってNOT1の入力側の電圧値は徐々に上がっていく。

図17
図18

 そして最後はコンデンサーは放電しきって、NOT1の入力電圧は0Vになる。

 これは図3および図4の状態そのものであり、後は先述と同じ現象が繰り返される。

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終わりに

 電子回路以外の勉強もやってはいるが、基本暗記系で記事のネタにならないのがツライ…

 1つは1月でケリがつくが、他はいつ終えられるだろう…

 できれば来年までには…厳しいか…

 

 END

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