【書評】橘玲「臆病者のための億万長者入門」④

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 前回

の続き。


第5章

 第5章は、大多数の人が悩むであろうマイホーム購入の話。

 この章の肝は以下の2つに尽きる。

 ①今はマイホームより賃貸の方がローリスク。

 ②不動産市場はインサイダーマーケットで、素人が手を出すものじゃない。

 ①に関して「今は」としたのは、バブルの時代には地価がものすごい勢いで上昇したため、バブルより前に土地を買ってバブルの時期に売ってしまえば儲けることができたからだ。
 だがそんな時代はとうの昔の話で、今マイホームを持つのはリターン以上にリスクの方が大きいのである。

 例えば、災害があった場合を考えるとわかりやすい。
 例えば東日本大震災級の津波によって家、ないしはアパートが流されたとする。
 購入したマイホームの場合、家の損失は自分が被らねばならない。
 だがアパートを借りていただけであれば、契約を解除して引っ越せばいいだけで、建物の損失を被ることはない。

 また、会社がオフィスを構える際、大半が土地や建物を「借りて」運営する。
 会社の目的は「利潤の最大化」だから、「借りる」より「買う」方が儲かるならどの会社も「買う」はずだ。
 でも実際がそうでないのだから、「借りる」方が得だと考えている会社が多いということになる。

 

 ②に関してはここでは多くは語らない。
 ただ、少しでも不動産投資に興味を持っているなら、5章-14を読んでからでも遅くはないと思う。

 

 他、個人的に印象に残った話を2つ。

 収益還元法
 もとは不動産価格を算出する方法だが、賃貸の適正家賃を算出する際に役に立つもの。
 それが次式だ。

\begin{align}
\text{月間の適正家賃}=\frac{ \text{不動産価格}\times 0.05\text{(金利)} }{12か月}
\end{align}

 例えば、同じ地区に似たような家が2つあり、片方は売りに、片方は賃貸に出されているとする(分譲マンションに置き換えてもよい)。
 売りに出されている家の不動産価格が3600万円だとすると、同程度の家の適正家賃は、

\begin{align}
\text{月間の適正家賃}=\frac{3600\text{万円}\times 0.05}{12か月}=15\text{万円/月}
\end{align}

となる。
 よってもし、賃貸に出されている家の月間家賃が15万円未満であれば割安、15万円より高ければ割高と判断できる。

 

 世帯数と住宅数の差

 今の日本は、住宅数が世帯数を上回っており、少子高齢化が進む中でこの差はどんどん広がっていく。
 人が減って家が余る時代に、不動産価格が上昇する理由はどこにもない。
 特に郊外や地方は、時間の経過とともに空き家が増え、価格は下がっていくから、今無理をして買い急ぐ必要はどこにもない。

第6章

 第6章はアベノミクスに絡めて日本の未来をシミュレーションし、個人がどのように乗り越えるかを議論している。
 話題的に少し時代遅れな話もあるが、今でも十分役に立つ話もある。

 いくつか印象的なトピックスを書きだしておく。

 

 ① 国民年金は有利な金融商品で、厚生年金は割に合わない。
   サラリーマンは惜しみなく奪われる立場ということ。独立したくなってきた…

 ② 資産運用のゴールは、半分を日本円で銀行に預け、残り半分を外貨預金にすること。
   為替の本質を理解していれば、ある通貨が下落すればある通貨が上昇し、実質的な資産は変動しないことがわかる。

 ③ 国家破産に陥ったとしても、進行度は十分ゆっくりだから焦らず確実に対処していけばよい。
   対処法も本書に書かれているため、頭の片隅に入れておくと良いかもしれない。

終章

 最後に「終章」という章があるが、今までのまとめなので特筆しない。
 ただ、個人的に突き刺さった段落を抜粋する。

 これからの資産運用は、儲けることではなく、労働市場から富を獲得できなくなったときのための保険と考えるべきだ。高齢化社会の到来で「悠々自適」は魅力を失い、長く働く(社会に参画する)ことが人生の新しい価値になるのなら、投資の果実を収穫するのはずっと先でいい。

橘玲「臆病者のための億万長者入門」

 「生涯現役」は私が高齢者になる年齢には避けて通れない道だろう。
 ただそのとき、私が本当に望んだことをしているかどうかだと思う。
 まだその答えも出ていないが。

終わりに

 最低限、自分の頭の中に留めておきたいことは書ききれたと思う。

 後でまた時間をおいて読み直してみようと思うが、著者のいう「金融リテラシー」を自信をもって身につけたというには、まだもう数冊本を読んで勉強する必要がありそうだ。

 正直、自分の中で学習意欲がまだ衰えないのは素直に喜ぶべきことだと感じている。

 亀並みの速度であっても、最低限、成長を止めない人間ではありたいと思うこの頃だ。
 
 
 END


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