【小説】芥川龍之介「羅生門」「鼻」

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 最初に書く小説の記事が芥川龍之介になるとは、ついこの間まで思いもしなかった。

 GWで暇を持て余し、Kindle Unlimitedで無料だった芥川龍之介の小説をいくつか読んでみたら思いのほかハマったのが原因だ。

 というわけで、完全なるネタバレ記事だが「できるだけ簡潔にあらすじを書く」ことを目標に書いていこうと思う。

以下、ネタバレ注意。


羅生門

 京の都はここ数年の度重なる自然災害により、完全に荒み切っていた。

 その煽りを受けて1人の下人が主人から暇を出され、行く当てもなく京の南端に位置する羅生門の下に一人座り込んでいた。

 雨を羅生門で凌ぎながら、下人は生き残るために盗賊になろうと思い詰めるが、なかなか最後の一歩を踏み出せない。

 

 ふと気が付くと、羅生門の2階に明かりが灯っているのが見える。

 下人が2階を覗き込むと、2階に打ち捨てられたいくつもの死体の中で、松明の灯りを頼りに女の死体から髪の毛を抜き取る老婆の姿があった。

 下人は老婆に襲い掛かり、刀を突きつけながら老婆に問い詰めた。

下人
下人

何をしていた!?

老婆
老婆

髪を抜き取って、かつらにして売ろうと思っておりました。

 老婆曰く、これは悪いことだと自覚しているが、生きるためには仕方がないという。

老婆
老婆

この女も、生き残るために蛇の干物を魚の干物だと嘘をついて売りさばいておりました。
私と同じように生きるために悪いことをしていたのですから、私のことも見逃してくれるはずです。

 この話を聞いた下人は、羅生門の下で逡巡していたことを思い出し、ついに最後の一歩を踏み出した。

下人
下人

では俺がお前の着物を剥いでも文句は言うまいな。
俺も生きるために必死なのだ!

 下人は老婆の着物を剥ぎ取ると、瞬く間に2階から下に駆け下りていった。

 老婆が下を伺った頃にはすでに下人の姿はなく、その後も下人の行方を知る者は誰もいなかったという。

 京都の僧である禅智内供(ぜんちないぐ)は、顎の下までかかるほどの長い鼻を持っていた。

 内供自身は気にしていない風を装っていたが、実際は
 ・鏡を見てどの角度であれば鼻が長く見えないか研究する。
 ・自分と同じような長い鼻を持つ人を探す。
 ・経典の中に長い鼻を持つ存在を探す。
といったことするほど、ひどいコンプレックスに苛まれていた。

 

 ある日、弟子の1人が長い鼻を短くする方法を医者から入手してきた。

 それは
 ① 長い鼻を熱湯に浸す。
 ② 熱湯に浸した鼻を足で踏みつける。
 ③ 鼻から噴き出る油の塊を毛抜きで取り除く。
 ④ もう一度鼻を熱湯に浸す。
という簡単な方法だった。

 弟子に実際に施術してもらうと、確かに鼻が短くなった。

 内供は、これでもう鼻について悩む必要はないと喜んだ。

 

 しかしその後、内供は出会う人出会う人が自分の顔を見ては、密かに笑いを堪えていることに気づく。

 長い鼻はなくなり、人から笑われる顔ではなくなったはずなのに笑われ続けることに内供は納得できない。

 内供は徐々に人間不信になり始め、周囲に強く当たるようになっていった。

 内供は気づかなかったが、これは、不幸を克服した人間をもう一度不幸に陥れたいと願う、人間の浅ましい性質によるものであった。

 

 ある寒い夜、内供は鼻がむず痒くなって寝付けなくなる。

 その翌朝、目が覚めて気が付くと、昨日まで短かった鼻が、また元の長い鼻に戻ってしまっていた。

 しかし、内供は「これでもう顔を見て笑われずに済む」と逆に晴れ晴れとした気持ちになるのだった。

 

 END


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