先にこっちを読むべきだったな。
概要
元自衛官・冨澤暉による自衛隊及び世界の軍事に関する一般向け解説書。
集団的自衛権、自衛隊のPKO参加、北朝鮮ミサイル問題、日本の核武装の是非、徴兵制の可能性など一般の人々が関心を寄せるテーマをしっかり中心に据えたうえでその「リアル」を解説する。
その上で、日本という国が軍事に対して取るべき姿勢を提示する。
レビュー
本書を読む前に「防衛省」を読んだのだが、先に押さえておくべきは本書だったなと読了後に感じた。
メディアを通じて世間に広く浸透してきている軍事絡みの問題のほとんどが本書で解説されている。
刊行は7年前であるが、内容は現在にも通じるものが多く、本書を読めば、現在の日本、及び世界の軍事事情の大枠を掴める。
例えば「集団的自衛権」はよく軍事関係の議論で上がる用語だが、正確に内容を把握している人は少数だろう。
本書では、これと混同されがちな「集団安全保障」と併せて説明されている。
「集団安全保障」には馴染みがない方が多いかもしれないが(自分もその一人だった)、著者によると言葉は知らなくとも知らず知らずの内に両者を混同していることが多いという。
両者を比較すると、前者は国家の権利で、後者は国連加盟国の義務である。
多国籍軍や連合軍に参加しての戦闘や、PKO活動中のやむを得ない戦闘などは実は「集団安全保障」に該当し、「集団的自衛権」には全く関係ない。
しかも、「集団安全保障」は国連加盟国の義務であるため、国連加盟国の日本は憲法9条を理由に「集団安全保障」に該当する戦闘を拒否できない。
かなり重要なことだと思うが、果たしてこれをちゃんと把握している日本国民はどれだけいるのか。
だがこうして自発的に軍事関連の本を読むなり勉強をしない限り把握できないのも問題で、内容は確かに複雑だが義務教育で教えるべき内容ではないかとも思う。
ただ一つ本書にケチをつけるなら、章の冒頭で「集団的自衛権とは何か」「集団安全保障とは何か」を明示して欲しかった。
一応両者を端的に説明した記述はあるのだが、章の中ほどだったり後ろの方だったりで参照が難しい。
他にも「北朝鮮がアメリカに発射したミサイルを日本が迎撃できるのか」「日本が核武装したらどうなるか、またはすることになるとしたらどういった状況か」など興味深いテーマの解説がいくつかあるが、長くなるので本記事ではここでとどめておく。
終わりに
パソコンのシューティングゲームから始まり、宇宙戦艦ヤマトを経由して、太平洋戦争の連合艦隊に辿り着いてから、自分の歴史の興味の中核は明治以降の近現代、特に戦争関連になった。
自分が今回大人買いした新書のうち、ミニタリーに関するものは本書でおしまいだが、次の本を購入する際にもう少しこの辺の本をまとめて買ってみたいと思う。
すでにいくつか候補はあるが、ともあれまずは書店で実際に読んで確認だな。
END
コメント