前回
までで、多重積分をパターン別に紹介し、各パターンに応じた例題を解いてきた。
今回からは、多重積分を逐次積分と変数変換が必要な多重積分の2つに大きくわけた上で問題演習を進めていく。
必ずしもすべてを解く必要はなく、気になる問題があれば参照してもらえればよい。
まずは逐次積分の問題演習からスタート。
被積分関数が変数分離できる場合
問題
積分領域を図示した上で、次の定積分を求めよ。
(1) ∫a−adx∫√a2−x2−√a2−x2dy(a>0)
(2) ∫10dy∫y20dxxlog(1+y)
解説
(1)

積分領域は右図のようになる。
まずyでの積分がxに依存しているため、yでの積分から実行して
∫a−adx∫√a2−x2−√a2−x2dy=∫a−adx[y]√a2−x2−√a2−x2=2∫a−adx√a2−x2
となる。
続いてxで積分する。x=acosθとして置換積分すると、dxdθ=−asinθ,0≤θ≤πより
2∫a−adx√a2−x2=2∫0π−asinθdθ√a2−a2cos2θ=2a2∫π0dθsin2θ=2a2∫π0dθ12(1−cos2θ)=a2[θ−12sin2θ]π0=πa2
となる。
(2)

積分領域は右図のようになる。
まずxでの積分がyに依存しているため、xでの積分から実行して
∫10dy∫y20dxxlog(1+y)=∫10dylog(1+y)[12x2]y20=12∫10dyy4log(1+y)
となる。
続いてyで積分する。まずf(y)=log(1+y),g(y)=y5/5として部分積分法を用いて
12∫10dyy4log(1+y)=12{[15y5log(1+y)]10−15∫10dyy51+y}
となる。ここで
∫10dyy51+y=∫10dy(1+y)5−(5y4+10y3+10y2+5y+1)1+y=∫10dy{(1+y)4−5y(1+y3)+10y2(1+y)+11+y}=∫10dy{(1+y)4−5y(1−y+y2)−10y2−11+y}=∫10dy{(1+y)4−5y3−5y2−5y−11+y}=[(1+y)55−54y4−53y3−52y2−log(1+y)]10=(325−54−53−52−log2)−15=4760−log2
となるため、これを利用して
12∫10dyy4log(1+y)=12{[15y5log(1+y)]10−15(4760−log2)}=12(log25−47300+log25)=log25−47600
となる。
被積分関数が変数分離できない場合
問題
積分領域を図示した上で、次の定積分を求めよ。
(1) ∫e2edy∫e1dx1x{log(xy)}2
(2) ∫11/√3dx∫xx2dyxx2+y2
解説
(1)

積分領域は右図のようになる。
まずxで積分する。
∫e2edy∫e1dx1x{log(xy)}2=∫e2edy[13{log(xy)}3]e1=13∫e2edy[{log(ey)}3−(logy)3]=13∫e2edy[{1+logy}3−(logy)3]=∫e2edy{13+logy+(logy)2}
となる。
続いてyで積分する。
∫e2edy{13+logy+(logy)2}=13∫e2edy+∫e2edylogy+∫e2edy(logy)2
ここでI1=∫e2edylogy,I2=∫e2edy(logy)2として別々で計算する。まずI1については、f(y)=logy,g(y)=yとして部分積分法を用いて
I1=∫e2edylogy=[ylogy]e2e−∫e2edy=e2loge2−eloge−(e2−e)=2e2−e−e2+e=e2
となる。続いてI2については、f(y)=(logy)2,g(y)=yとして部分積分法を用いて
I2=∫e2edy(logy)2=[y(logy)2]e2e−∫e2edyy⋅2logyy=e2(loge2)2−e(loge)2−2∫e2edylogy=4e2−e−2e2=2e2−e
となる。よって求めたI1,I2を利用して
∫e2edy{13+logy+(logy)2}=13∫e2edy+I1+I2=e2−e3+e2+2e2−e=e2−e+9e2−3e3=103e2−43e
となる。
(2)

積分領域は右図のようになる。
まずyでの積分がxに依存しているため、yでの積分から実行して
∫11/√3dx∫xx2dyxx2+y2=∫11/√3dx∫xx2dy1x1+(yx)2=∫11/√3dx[tan−1yx]xx2=∫11/√3dx(π4−tan−1x)
となる。
続いてxで積分する。第2項の積分はf(x)=tan−1x,g(x)=xとして部分積分法を用いて
∫11/√3dx(π4−tan−1x)=∫11/√3dxπ4−{[xtan−1x]11/√3−∫11/√3dxx1+x2}=π4(1−1√3)−{π4−π6√3−[12log(1+x2)]11/√3}=π6√3−π4√3+12(log2−log43)=−π12√3+12(log2−2log2+log3)=12log32−√336π
となる。
次回も、問題の出し方を少し変えて逐次積分の問題演習を進める。
続きはこちら。
コメント