概要
世界的ベストセラーにもなったため、一度は耳にしたことがあるかもしれない。
「同じ人間なのに、男と女はなぜこうも分かり合えないのか」という疑問を抱く多くの人々は多い。
そんな人々に対し、本書は「『男』と『女』は全く別の生き物。男は『火星人』、女は『金星人』なんだ」と「同じ人間」という考え方を真正面から崩した上で、男女間の良好関係の構築の仕方を説いているのが特徴だ。
私見
内容的には、前に紹介した「察しない男 説明しない女」とかぶる部分が多々ある。
しかし、本書は上のように男女間の違いを羅列する書き方ではなく、男女間の違いを生み出す「根本的な違い」の説明に注力している。
そして、それによって生じる男女間のトラブルを解決するための具体的な手引きが豊富に掲載されているのが魅力的だ。
著者がアメリカ人だから、日本との文化的な違いで「ん?」と思う例はあるが、おおむね日本でも通用する手引きだと思う。
本書を通じて私が深く考えさせられたことは、2つ。
まず1つ目は、男という生き物についてだ。
いくつか共感できる内容があったが、そのうちの1つを示す。
男性は、自らの能力によって達成された結果によって”自己証明”をするのである。目的の達成と成功によってはじめて、男性は基本的な人生の充実感を味わうことができる。
ジョン・グレイ「ベスト・パートナーになるために」
(中略)
そのためには、あくまでも自分一人の力でなし遂げなければならない。他人の助けを借りて目的を達成できても、それは無意味なのだ。
(中略)
自分の問題はすべて自分の力で片づけていこうとするために、男性はよほどの場合でない限り、その問題に関することを人前で口にしようとしない。せいぜい、その道の専門家に専門的なアドバイスを受ける時ぐらいである。
男性で思い当たる人、結構いるのではないだろうか?
「報連相」が大事とビジネスマナー本に常套句のように書かれるのは、「できて当たり前だけどできない人が多い」からであり、できない人が多いのは、それが「男のサガ」だから、というわけだ。
続いて、考えさせられたこと2つ目。
これは、本書の第7章を読んでもらうほうが手っ取り早いだろう。
今まで順風満帆だったのに、突然相手が憎く思えてならない。
今まで相手に首ったけだったのに、些細なことで急にその熱が冷めてしまう。
さっきまで会いたくてたまらなかったのに、いざ会ってみると真逆の感情を抱いてしまう。
そんな、自分自身も理解に苦しむ心変わりに対する回答が、第7章に書かれている。
最後に、感想ではないが、漢字の間違いや言葉の使い方の間違い(例えば「役不足」の使い方が間違っている)が気になった。
こういうところからも、誤った用法が広まったいくのだろうか。
終わりに
内容的にも何周読む価値があるし、なにより文庫本なので電車内でのスマホ以外の暇つぶしに十分使えるのが良い。
できれば本書以外にも、生涯読める文庫本を後数冊は持っておきたい。
いくつか見繕って図書館で借りて読んで、それから購入を決めるか。
END
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