会社からの業務命令でVEリーダー認定試験を受験、合格したので勉強法と受験の様子についてまとめる。
VEリーダー認定試験とは
そもそもVE(バリュー・エンジニアリング)とは、製品やサービスの価値向上を図る手法の1つである。
VEリーダー認定試験は、このVEを実施する集団のリーダーとして必要な知識を有する人材であることを認定する試験である。
試験方式はCBT方式を採用しており、試験期間中であれば最寄りの会場でいつでも受験可能。
試験期間は1年に2回設定されており、前期が4月中旬~7月末、後期が9月下旬~翌年2月末となっている。
(実際の試験期間は要確認。)
試験時間は90分で、出題形式は下記の通りである。
・正誤判定
○×問題。
1問0.5点で、30問出題される。
・三肢択一
3つの選択肢から正解を選ぶ。
「適切なものを選べ」「もっとも適切なものを選べ」「不適切なものを選べ」の3種類がある。(これが結構大事。詳細は後述。)
1問1点で、15問出題される。
・空欄穴埋
出題文中の空欄に適切な用語を当てはめる。
大問2問が出題され、各大問に10個の空欄がある。
空欄1個につき1点。
・語群結合
出題文が用語説明文になっており、各説明文にふさわしい用語を選択する。
1問1点で、10問出題される。
・用語選択
出題される用語に関連する用語を選択する。
大問2問が出題され、各大問につき5つの用語を選択する。
用語1個につき2点。
・並べ替え
VEの実施手順に関する用語を手順通りに並び替える。
1つでも順序を間違えると誤答となる。
1問のみ出題で、配点は5点。
・機能系統図
提示された文言を使って機能系統図を作成する。
1つでも当てはめる箇所を間違えると誤答となる。
1問のみ出題で、配点は5点。
・機能選択
具体的な製品・サービスの基本機能を問う問題。
1問2点で、5問出題される。
試験対策
実際に自分が行った対策は、下記問題集をやりこんだだけである。
やりこむ、というのは具体的には下記のような感じだ。
- 各章の要点整理ページを読み、問題演習を一通り実施。誤答した問題は解説確認後に再度演習。
- 2周目は解説ページを見ずにそのまま演習。誤答した問題は解説確認後に再度演習。
- 2を繰り返し、内容を理解した上で問題と解答を暗記する。
上記勉強を(会社に試験勉強を業務と認めてもらった上で)始業後10分間、期間としては1か月半継続した。
暗記したのは問題とその解答だけだが、やみくもに覚えるのではなく、なぜその解答になるのかを解説できるレベルにはしておく必要がある。
本番の試験ではこの問題集に掲載されているものと同じ問題も出題されたが、数としては決して多くなく、内容をある程度しっかり理解していないと他の問題には対応できないだろう。
(もしかしたら他の参考書に掲載されている演習問題などが出題されていたのかもしれない。)
試験の勘所
VEは手法としてかなりシステム化されており、手順、各手順にて実施する技法、用語の使い方1つに至るまでかなり厳格に定義されている。
よって時たま「なんでこうなるの?」という場面に遭遇するが、「こういうものだ」とある程度割り切ることも大事になってくる。
また、問題を解答するためのアプローチの仕方が少々独特で、これに気づくとかなり演習が楽になる。
ここでは独特のアプローチが必要な出題形式ごとにその勘所を記載していく。
正誤判定
正誤判定では「一部正しいは×」である。
例えば、次のような問題がある。
次の文の内容が正しい場合は〇、間違っている場合は×を選びなさい。
改善の対象にする機能分野は、価値の程度によって選定される。
確かに改善対象の選定時には「価値の程度」を考慮しなければならないので、上の文は間違ってはいない。
だが厳密には、改善対象の選定時には「価値の程度」に加えて「コスト低減余地」という指標を加味する必要がある。
問題文には「コスト低減余地」について一切言及されていないので、この問題の解答は×になる。
三肢択一
先述した通り、三肢択一には「適切なものを選べ」「もっとも適切なものを選べ」「不適切なものを選べ」の3種類がある。
「不適切なものを選べ」はそのまま間違っている選択肢を選べばよいが、「適切なものを選べ」「もっとも適切なものを選べ」についてはその違いをはっきりさせておく必要がある。
例えば次のような2つの問題がある。
問1:機能評価段階で収集する情報として、適切なものを選べ。
1. 技術情報とコスト情報
2. 一般情報と特有情報
3. 顧客情報と市場情報
問2:機能評価段階で収集する情報として、もっとも適切なものを選べ。
1. 一般情報
2. 一般情報と特有情報
3. 特有情報
正解はいずれも2だが、両者の違いがわかるだろうか。
問1の1,3は明らかに間違っているが、2問目の1,3は半分正解と言える選択肢だ。
つまり
「適切なものを選べ」
⇒問題文に不適合である選択肢の中から、問題文に完全適合する選択肢を選ぶ。
「もっとも適切なものを選べ」
⇒問題文に一部適合する選択肢の中から、問題文に完全適合する選択肢を選ぶ。
という違いがある。
注意が必要なのは「もっとも適切なものを選べ」で、すべての選択肢が間違ったことは言っていないので、ちゃんと確認しないと一部適合する選択肢を選びかねない。
また、三肢択一でも「一部正しいは×」が適用される。
次の問題を考える。
問3:対象分野の選定の考え方として、不適切なものを選びなさい。
1. コスト低減余地が大きいほどコスト改善の可能性が高い。
2. 価値の程度は現行コストと機能評価値の比率で表される。
3. コスト低減余地が大きい機能分野を、改善対象として選定する。
1,2は完全に正しいので、不適切なものではない。
しかし3については一部正しいので不適切であり、3が正答となる。
(改善対象の選定時にはコスト低減余地に加えて価値の程度も考慮する必要がある。)
空欄穴埋
用語を正しく使うことができるかが試されるのが空欄穴埋だ。
例えば、次のような文がある。
「機能の定義」では「名詞と動詞」の2語で「簡潔に」機能を表現する。
上記文で「」でくくった用語は、一字一句同じでなければいけない。
「簡潔に」などは他の言葉でも代用できそうな気がするが、それはNGだ。
仮に下記のような穴埋め問題が出題されたとしたら、確実にBを選ぶ必要がある。
次の文の空欄に当てはまる選択肢としてもっとも適切なものを選べ。
機能の定義では、名詞と動詞の2語で( )に機能を表現する。
A. 簡便 B. 簡潔 C. 簡単 D. 簡素
並べ替え
自分が受験した際には、問題集と同様にVEの7質問が出題された。
しかし、問題集の選択肢には7質問に実際に使われる文言しかなかったのに対し、本番では7質問には使われない文言が混じっていた。
7質問は文言もしっかり暗記しておくのが無難だろう。
受験レポ
予約専用サイトから会場と日時を選定して予約。
予約時に受験料22000円(税込)を前払いするため、確実に空いている日程を選んでおくとよい。
また、予約完了時に確認証が発行され、受験当日の必携物となっているので忘れないようにすること。
試験当日は、試験開始時間の15分前までに会場に向かう。
試験開始時間の15分前が会場集合時刻となっており、集合時刻を超過すると試験を受けられないため要注意。
集合場所となる控室と実際の試験会場は分かれており、持参物は基本全て控室のロッカーに収納する。
集合時刻になると担当者から注意事項の説明を受け、受験票を渡される。
試験会場に持参可能なものは受験票、身分証、ロッカーの鍵、ハンカチ類のみ。
試験会場へは、持参物を手に持った状態で移動する。
指定された座席に着席して、自分のタイミングで試験開始。
座席には予め鉛筆とメモ用紙が置かれており、自由に使用可能。
パソコン上での解答となるため、空欄穴埋や語群結合など複数の選択肢から当てはめる問題では、選択済みの選択肢を消すことができず苦労した。
試験時間は90分だが、実際には見直しも含めて40分程度で終了した。
試験時間内に終了することも可能であるため、自分は早々に切り上げて退室。
退室時には最初の持参物に加えて使用した鉛筆とメモ用紙を携帯して試験監督者のもとに向かい、持参物チェック、鉛筆とメモ用紙を返却する。
退室後は控室のロッカーから持参物を回収し、会場を後にした。
試験日の翌日にはスコアレポートがメールで届き、合否が判明する。
実際のスコアレポートを示しておく。
合否判定と全体の点数に加え、各出題形式での正答率が掲載されている。
さらに数日後、登録・認定証の発行に関するメールが届き、所定の手続きを踏むと登録・認定証が発行される。
実際の登録・認定証を示しておく。
終わりに
自分は1日の勉強時間が短かったため1か月半を要したが、勝手がわかってしまえば1週間程度の集中勉強で十分合格を狙えると思う。
わかってくるとまあまあ面白い内容で、実際に社内でもVEを活用する動きが出ているので無駄にはならんだろうとは思う。
この試験、企業ごとの合格者数が公表されており、三菱系の企業が結構なボリュームを占めている。
三菱系の企業への就職を狙っている人は、取得しておいて損はないかもしれない。
END
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