【書評】辻芳樹「和食の知られざる世界」

書籍

 初めましてのジャンルだけど面白かった。

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概要

 辻調理専門学校校長・辻芳樹が、世界から見た和食の実際と目指すべき未来について著した解説書。

 著者の体験談を交えながら、世界における和食のイメージ、捉えられ方の変遷を辿る。

 また、著者が推し進めるプロジェクトを紹介しつつ、和食が目指すべき未来の在り方を提唱する。

レビュー 

 「和食派か?洋食派か?」と問われたら、どちらかと言うと自分は和食派だ。

 厳密には、和食、洋食に限らず王道料理(カレーライス、かつ丼、ラーメン、ナポリタンなど)が好物だが、やはりご飯というと白米、主菜、副菜、みそ汁が揃った和定食になる。

 自分の中にある和食のイメージは、おそらく大多数の日本人が想像するものと相違ないだろうが、海外ではとても日本では和食と言えないようなものが「和食」として提供されている。

 個人的には「それは和食ではない」と是正しなければならない、と思いたいところだが、著者の考えは異なる。

 著者は、グローバル化が進む現在においては、旧来のイメージや在り方に拘っていては和食の発展はないという。

 言い換えれば、グローバル社会においては和食もグローバル化しなければならない、ということなのだろう。

 具体的には、和食としての枠を外すことなく、外国人の舌に合う食材や味付けで和食を提供する必要があると主張する。

 かつて日本も、外国からもたらされた料理を、日本人の舌に合う料理へ次々に昇華させていき、今ではそれらの多くが「和食」として世界から認識されている。

 洋⇒和の変換を日本の場合は日本人が自らそれをやってしまったが、今度は和⇒洋の変換を積極的にやっていこうということである。

 食は人間全員が持つ本能的欲求だが、その好みは国や地域によって全く異なる。

 それらのスタイルに合わすまでいかなくとも寄っていかなければ、外に和食が広まることはない。

 個人的には、自分がイメージする和食が消えてほしくないし、こっちの方が断然美味いわと言いたくなる。

 しかしこのグローバル社会では、食の世界においても井の中の蛙ではいけないのだろう。

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終わりに

 あることをし出してから本を読む時間が削られ、消化スピードも落ちた。

 あることの内容はまだ言えない、というか言える日が来るのかも未知数だが、やめるつもりはないし、本も継続して読み続けていきたい。

 END

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