【書評】永井忠孝「英語の害毒」

書籍

 国家の品格の副読本。

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概要

 言語学者・永井忠孝が送る、日本の英語教育に対する警告本。

 多くの日本人が抱く「理想の英語教育」が実は間違いであるという主張を、多様な文献を根拠に展開している。

 その上で、実現可能性に疑問を呈しながらも、自らが考案する外国語教育の理想像を述べている。

レビュー

 日本が掲げる理想の英語教育は、英米の自発的植民地化を推進するものだ。

 以上の文言だけだと眉唾ものだが、本書、および自分がこれまで読んできた本を踏まえると、考えなしに否定することはできない。

 

 自分が自覚していなかった不平等を痛感させられた。

 なぜ日本人がアメリカ人、イギリス人と話すとなると決まっているかのように英語でなければいけないのか。

 日本語で会話したって良いはずだ。

 アメリカで英語を話すならまだいい。

 なぜ日本にいるアメリカ人、イギリス人までに英語を使わないといけない?

 郷に行っては郷に従えと言うなら、アメリカ人、イギリス人も日本語を習得して日本に来るべきだろう。

 

 外国語よりも国語を重視しろとはっきり言い切ってはいないが、著者もこの意見には同意だろう。

 少なくとも、日本語で論理的思考ができるようにならないと、日本の国力は低下する一方だ。

 

 個人的にゆとり教育の本質に迫った部分には唸らされた。

 教育指導要領を最低ラインと定め、実際のシラバス内容は学校に一任することで、生徒のレベルに合わせた教育を可能にする。

 ドイツの教育制度と似ているが、ドイツは国で学校のレベルを規定しているのに対して、日本は表立って規定していない。

 表面化しない形で学校の教育差別化を図ろうとしたわけだ。

 実に欧米的、資本主義的だが、表立っては国民から非難されるのは目に見えていたからこそこの方針が取られたのだろう。

 個人的には、もしこれらを全て織り込んで実施したのならうまいこと考えたと思う。

 

要はアメリカは日本を欧米化、いや欧米に従順な国にするための教育方策を戦後から影に進めてきたわけだ。

何かこう書くと今更感が否めないが、本書でそれをやっと実感したというのが正直なところだ。

可能であれば避けたい問題だが、日本の場合これは非常に難しい問題で、極端な方針になると究極の三択になる。

  1. 欧米の白人至上主義を受け入れた上で、アメリカの庇護下で安全確保を模索する。
  2. 中国と手を組み、白人至上主義を潰す。
  3. 欧米とも中国とも手を組まず、自国だけで国防力、経済力強化を目指す。

 読んでみればわかるが、どれも非現実的だ。

 1は、安全は確保される半面、日本は欧米の植民地になっているだろう。

 2は白人に潰される危険性が高く、万が一成功しても中国に乗っ取られる可能性大。

 3が理想的だが、国民に国際的自立心が無い現状では非現実的だ。
 何よりアメリカの安全保障が無くなったら、日本はひとたまりもない。

 

 今の日本が、戦国時代の真田家に見えるのは自分だけだろうか。

 周囲を強国に囲まれ、いつ滅ぼされてもおかしくない状況下で、自国が生き残るために手段を選ばず世渡りしていく。

 日本はどの国が徳川家になるのか見定めなければならない。

 結局真田家は、家を2つに分けて片方を徳川家、片方を豊臣家につかせて存続させたわけだが、今の日本ではそんなことできない。

 そうなった途端、いやその過程で戦争になることは目に見えてる。

 朝鮮半島の二の舞だ。

 最終的にどちらにつくか決めるときがくるまでは、両方に良い顔をして傷を最小限に抑える方向で進めるしかないのかもしれない。

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終わりに

 ようやく大人買いした新潮新書を全て読み終えた。

 その間に、新潮新書に拘らず、読みたい本は既に見繕ってある。

 自分のペースで読み進めていきたい。

 END

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