電気設計業務に本格的に参画するようになった際、同僚(と言ってもかなり年配の方)から「第二種電気工事士は取っておくと良いぞ」と勧められたので受験してみることにした。
結果として無事合格したので、まずは学科試験について詳しく取り上げる。
第二種電気工事士とは
そもそも第二種電気工事士で何かできるかというと、簡単に言ってしまえばごく一般的な家屋の電気工事のほとんどを施工可能になる。
例えば照明のスイッチの種類を変えたり、コンセントの数を増やしたり、エアコンの設置工事なんかもできてしまう。
これらは通常であれば専用業者に工事を依頼する必要があるものばかりだが、第二種電気工事士の資格があれば自分でできるので、その分人件費を浮かすことができる。
第二種電気工事士の試験は学科(筆記)と技能の2種類があり、両方とも合格する必要がある。
試験は1年に2回(上期と下期)があり、それぞれの試験開催時期は例年下表のようになっている。
上期 | 下期 | |
学科試験 | 5月下旬 | 10月下旬 |
技能試験 | 7月下旬 | 12月下旬 |
今回自分は2023年度上期の試験に挑戦することにした。
学科(筆記)試験の概要
学科試験は、試験時間120分で、配点が2点の4択問題が50問出題され、計100点満点中60点以上で合格である。
また学科試験はCBT方式も選択可能であり、通常の学科試験よりも早く受験し、結果をその場で確認することが可能である。
学科試験に自信がある方はCBT方式の受験も検討してみると良い。
学科(筆記)試験までの勉強
まずは学科(筆記)試験に合格する必要があるため、学科試験の対策からスタート。
まず自分が取り組んだのはこれ。
会社の通信教育に上記講座が含まれており、優秀修了したら無償になるため利用させてもらった(でなければこんな高い講座を頼んだりしない)。
嬉しいのは学科試験用テキストだけでなく、技能試験用テキストと1回分の材料セットも含まれていること。
これらを普通に購入すると2万円近くするので、条件付きとはいえこれが無償になるのはありがたい。
ということで、まずは素直にテキストに沿って去年12月から勉強を開始。
受講期間通り3ヶ月、今年2月末で学科試験分のテキストをこなした。
その後は下記問題集を購入し、ひたすらアウトプット。
分厚いがハンディサイズで持ち運びに便利。
また出題パターンで章立てされており、苦手な分野を重点的に勉強したい自分にとっては好都合だった。
分野ごとに頻出問題が最初にまとめられており、ぶっちゃけ頻出問題さえクリアしておけば学科試験は通ると思う。
自分は頻出問題だけを2か月間繰り返し、5月初旬に試しに過去問演習したところ余裕で80点以上を取れるようになっていた。
そこから試験本番までは残りの問題にも取り組みながらひたすら過去問演習した。
過去問演習では基本30分程度で解き終え、全て80点以上をマークした。
試験本番
自分は通常の試験会場での学科試験を受験した。
例年同じなのかはわからないが、試験開始から1時間後には退出可能となるため、早く解き終えてもずっと試験会場に留まる必要はない。
自分は過去問演習通り30分程度で全て解き終え、また見直しも兼ねてもう1周解き直し、かつマークミスのチェックをしたところで退出可能時刻となったため退出。
なお、試験問題冊子は持ち帰り可能なので、自分の解答をメモしておいて後ほど自己採点が出来るようにした。
翌日、学科試験の解答速報が公式HPにアップされたので自己採点したところ、60点は確実に超えていたため結果発表を待たず技能試験対策に入った。
学科試験の所感
下表に学科試験の出題される問題の種類別に所感を書いておく。
問題の種類 | 内容 | 所感 |
理論 | 直列回路、並列回路、電力計算、交流回路、三相交流回路、etc… | 高校時代に物理をやっていた人は苦労しない。力率と三相交流回路が高校物理範囲外なので注意。 |
電気機器 | 三相誘導電動機、各種照明(白熱電球、蛍光灯、LED)、ケーブル、配線用遮断器、etc… | 暗記ゲー。特に三相誘導電機の同期速度の公式、ケーブルの許容温度、配線用遮断器の遮断時間は要暗記。 |
配線設計 | 電線の許容電流、幹線の設計、幹線の過電流遮断器、分岐回路の施設、etc… | 暗記と計算。個人的苦労ポイント。数値の暗記が多く、難なく解けるようになるにはそれなりの演習量が必要。 |
電気工事 | 電圧の種別、電線の接続方法、各種工事方法(施設可能場所)、接地工事、etc… | 暗記ゲー。D種接地工事の要件(該当電圧と接地抵抗値、接地線の太さ)は要暗記。 |
検査 | 各種計測器(テスター、電力量計、検電器、etc…)、絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、etc… | 暗記ゲー。絶縁抵抗値の決め方、絶縁抵抗測定方法(電線間、電路-大地間での違い)、接地抵抗測定方法は要暗記。 |
法令 | 電気事業法、電気工事士法、電気用品安全法 | 暗記ゲー。一般電気工作物における小出力発電設備の許容出力、PSEマークは要暗記。 |
写真鑑別 | 出題された写真に写る機器、器具、工具、材料を解答する。 | 暗記ゲー。一番とっつきやすい分野。得点源にしたい。 |
配線図 | 主に出題される配線図における施工方法を問われる。配線設計、電気工事、検査、写真鑑別の知識が必要。 | これは習うより慣れろで、配線設計、電気工事、検査、写真鑑別の勉強を一通りした後で実際に問題を解いて慣れる方が早いと思う。 |
配線図記号 | 配線図内の記号の意味を問われる。 | 暗記ゲー。スイッチとコンセントは種類が多いので注意。 |
複線図 | 配線図を複線図に描き直すことで解ける問題(最小電線本数、使用するリングスリーブ、差込形コネクタの数など)が出題される。 | 複線図を描けることが必須。これは練習あるのみで、配線図から複線図に描き直す練習問題をとにかく解く。また、リングスリーブの種類と刻印の決め方も要暗記。 |
長々書いたが、結局は100点満点中60点、問題数にすると50問中30問が解ければ良い(20問は間違えても良い)ので、ぶっちゃけ苦手分野があっても1つくらいは許容範囲だと思う。
電気に全く馴染みが無い人は一通り一度勉強した後に自分の苦手分野を把握し、折り合いをつけて合格点が取れる戦略を立てれば良いだろう。
ただし、複線図は後の技能試験で必須になるので捨ててはいけない。
複線図に関しては最初は慣れないが、これも演習を繰り返せば描き方がわかってくるはずだ。
終わりに
本記事で第二種電気工事士の学科試験の解説は以上である。
次回は学科試験通過者が受験できる技能試験についてまとめる。
次回はこちら。
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