【書評】池上彰「超訳 日本国憲法」

書籍

 中学社会科の復習。

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概要

 ジャーナリスト・池上彰による日本国憲法の解説書。

 原文のままでは理解しづらい日本国憲法を「超訳」し、各条文に関係する用語、法律、事象などを適宜紹介しながらなるべく平易な文章で解説している。

 また出版当時に話題になった集団的自衛権に関する解説、そして日本に留まらず北朝鮮、中国、アメリカの憲法についても紹介している。

レビュー

 日本国憲法に関する本は、実はすでに持っている。

 大学時代に日本国憲法の講義を教職課程の必修科目として履修した際に、教科書として指定されていた書籍だ。

 だが当時はとっつきにくい内容で、結局履修後は本棚の肥やしになってしまった。
 (今読み返せば違う、と思いたい。)

 だが憲法に関してはある程度ちゃんと把握しておかないとまずいよなあ、ちょうど手頃な本はないもんかと思いながらも積極的に探そうとはこれまでしなかったが、ネットサーフィンする中でたまたま発見したのが本書だった。

 

 何気に池上彰氏の本を読むのは今回が初めてだったりする。

 著者はかつてから「わかりやすい解説」に定評があったが、本書でもそのスタンスを貫いている。

 「超訳」という言葉の具体的な定義は本書内で示されていないが、まあ概ねその字面から連想できる意味で合っているだろう。

 

 「憲法の三大原則」「衆議院の優先」「違憲立法審査権」など読み進めていく中で懐かしい用語にいくつも出会え、本書を読んでいる間は久々に社会の授業を受けているような感覚だった。

 衆議院の優先の理由「任期が短く解散があり、国民の意思をより反映しているといえるため」は、中学当時に通っていた塾の先生が頭に刷り込まれるレベルで繰り返し口にしていたフレーズで、今になってもこれははっきり覚えている。
 (あと、ヤルタ会談とマルタ会談の違いの覚え方で「戦争、まだヤルタ?」でヤルタ会談は第二次世界大戦での会談と覚えた。)

 中学公民の復習にうってつけの一冊と感じたと同時に、やはり中学公民は義務教育として日本人が知っておかなければならない事項をちゃんと扱っていたんだなと改めて実感した。

 

 ただし刊行が10年前であることもあり、最新とされている事象が最新ではないことは注意点だ。

 現在では参政権が18歳以上にすでに引き下げられているが、本書の段階ではまだ「方針」のレベルにとどまっている。

 しかし、かつての安倍政権が推進していた憲法改正の推進の中身を具体的に示している部分は勉強になった。

 特に憲法九十六条の改正の企図については「そんなこと言ってたんだ」レベルで知らなかったので助かった。

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終わりに

 大学時代に受けた日本国憲法の講義はどんな内容だったか、と気になって当時のシラバスを漁ってみたらつい止まらなくなってしまった。

 こんな講義受けたなあと懐かしいものもあったり、はたまたこの講義受けて見たかったなあと後悔するものもあったり。

 卒業生は自由に講義を受けられるみたいな優遇制度あったら絶対活用するんだがなあ…

 END

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