時期的に少し遅いかもしれないが、怪談の定番作を読んでみた。
概要
ギリシャに生まれ、後に日本に帰化した民俗学者・ラフカディオ・ハーン、別名小泉八雲が、日本の古典や現地取材に基づいて執筆した怪談短編集。
「耳なし芳一」や「雪女」など、ハーンが取り上げたことで大衆に広く認知され、現代で日本を代表する怪談として浸透している物語もある。
また日本と中国の古典、日本での生活からハーンが考察してまとめた昆虫に関するエッセイ「虫の研究」も収録されている。
私見
収録されている怪談は全17編。
「耳なし芳一のはなし」と「雪おんな」は題名と内容ともに既知だったが、自分が「のっぺらぼう」として認識していた話が「むじな」という題で収録されていたことは知らなかった。
17編を一通り読んだが、素直な感想として古めかしさはあまり感じなかった。
不気味な話は十分不気味だし、もの悲しい話はやはりもの悲しい。
一話完結のドラマにしても十分ものになるのではないか。
怪談は怪談でかなり楽しめたが、その後に収録されているエッセイ集「虫の研究」も読みごたえがある。
蝶、蚊、蟻の3種類の昆虫について書かれた短編エッセイをまとめたもので、かなりざっくり要約すると下記のような感じになる。
・蝶 ⇒ 醜いものから美しいものが生まれる。
・蚊 ⇒ 東京の蚊を撲滅するには東京の墓場と寺を破壊しなければならない(現実的に無理)。
・蟻 ⇒ 蟻の社会は人間より進んだ社会である。
特に「蟻」に関しては、自分が今まで持ち合わせていなかった視点で書かれていて新鮮だった。
同様のことは蜂にも言えることだが、確かに彼らの社会を人間に置き換えると面白い。
社会を動かすのは女性であり、男性は子孫を残すためだけに生まれ、役目を全うするとすぐに死んでしまう。
女性たちは私欲を持たず、ただ自分が所属する社会の繁栄のためだけに働き、戦うのだ。
ふと思ったが、兵隊アリは存在するから国という概念が存続されていたら、女性社会でも戦争はなくならないのだろうか?
終わりに
この本は会社の休憩時間の合間に読んでいたのだが、各短編の長さが休憩時間にちょうど良く読みやすかった。
いたずらにネットサーフィンするよりは有益な時間を過ごせるだろうから、似たような本を探して面白いものが見つかったら読んでレビューしていければと思う。
END
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