【思考録】3:「若者よ、選挙に行くな」に思う

思考録

 参院選の投票が終了した。

 オワコンに関するネタになるが、個人的に思うことがあったので、つらつらと書いていくことにする。

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とある動画

 YouTubeに上がっている「若者よ、選挙に行くな」という動画をご存じだろうか?
 (不快な思いをさせる可能性があるため、再生・閲覧は自己責任にてどうぞ。)

 団塊の世代の人間が「若者が選挙に来たら、私たちに有利な政治が成り立たなくなってしまう。だから選挙に来ないでくれ」とメッセージを発している。

 そして「こんなことを言われても、あなたは選挙には行きませんか?」と、若者の選挙参加を呼び掛ける格好で終わる。

 危機感と怒りの感情を利用した扇動動画だ。

 

 確かに有効となり得る手段だろうが、負の感情を利用する扇動がもたらす代償には気を付けるべきである。

 この動画を見て、団塊の世代の人間全員が動画のような考えを持っていると捉える人もいるだろう。
 (私のような人間不信者の場合は特にその可能性が高いと思う。)

 そう捉えてしまった場合、彼らは団塊の世代の人間全員を敵と認識し、攻撃的になる可能性がある。

 正直、私のこの動画の初見時の感想は

なんでこう世代間の対立を煽るような動画を作ったんだ?

だった。

 ただでさえ対立しやすい年齢差であるだけに、若い世代と団塊の世代の間にさらに深い溝を作りかねないのだ。

 国の方針を決めるための争いである選挙で、動機が全く異なる別の争いが勃発するのは望ましくない。

 誘発された感情に身を任せず、ここは俯瞰的に捉えるだけに留めておくのが賢明だと思う。

 別のことにエネルギーを消費して、選挙の方が疎かになるのは馬鹿げている。

若者が選挙に行っても

 同時に、私は以下のように思った。

将来、若者全員が選挙に行くようになっても、60歳以上の人口には勝てないんじゃないか?

 つまりだ。

 「少子高齢化で若年層の人口は減少、高齢層の人口は増加してんだから、若年層の投票率が今後伸びていっても、人口そのものが増えた高齢者層の投票数に負けて、結局、高齢者層の意志が政権の運営方針に反映されやすい状況は変わらないんじゃないか?」

ということだ。

 

 実際に調べてみた。
 なお、以降では18~34歳を若年層、60歳以上を高齢者層とする。

 厚生労働省の下にある研究所「国立社会保障・人口問題研究所」が日本の将来人口推計を公表している。
 資料のリンクはこちら⇒日本の将来推計人口(平成29年推計)

 公表されているデータから、選挙権を持つ人口の推移を年代別にまとめて抜粋すると下記のようになる。
 (人口の単位は千人である。)

西暦18~34歳35~59歳60歳以上
2015224514265542420
2030196573777845524
2045163782997446203

 これを百分率に直し、円グラフにまとめると、下図のようになる。

 2015年の時点で、高齢者層が若年層を20%近く上回っている。
 2015年の衆議院選挙では、投票率でも高齢者層が若年層を上回っているため、実際の投票者数も高齢者層の方が多い。
 参考⇒総務省 | 国政選挙の年代別投票率の推移について

 これが30年後の2045年になると、高齢者層が有権者の半分を占めるようになる。

 さてここで、
 ・2045年時点で、若年層の投票率は100%に達している。
 ・定年が70歳まで引き延ばされ、高齢者層を70歳以上とする。
 ・70歳以上の投票率は、2015年と変化していない。
という仮定の下で、2045年の投票者数を計算してみる。

 2045年での若年層(18~34歳)の推定人口は16378千人。
 投票率は100%だから、投票者数はそのままで16378千人

 さて高齢者層(70歳以上)だが、2045年での推定人口は31443千人。
 2015年衆議院選挙時の投票率は60.94%であるため、投票率がそのまま変化しないなら、投票者数は31443千人×0.6094=19161.35千人

 2045年では、若者全員が投票しても、70歳以上の投票者数にすら勝てないのである。
 そして、若者の投票率を上げたところで、高齢者層の意志が政権の運営方針に反映されやすい状況は変わらないと言える。

 こうなると、闇雲に「若いやつらも投票に行け!」と急き立てても根本的な解決にはならないだろう。

 いずれ「一票の格差」から「世代票の格差」などと問題視される日が来るやもしれない。

 各世代の人口割合に応じて投票数に係数を乗じ、各世代の意志が平等に反映されるようなシステムを構築しないと、今後色々マズいことになりそうな気がする。

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終わりに

 今年の参院選、予想はしていたが結果は自民党が優勢。

 一党政治に対する危機感と、国政能力があるのが自民党だけで選ぶ余地があまりない現実に板挟みになっている人も少なからずいると思う。

 でもまだそれは良い方で、マズいのは思考停止に陥った状態でなんとなく投票すること、そして投票をしないことだ。

 ぶっちゃけ、

俺は国に頼らなくても生きていける力があるから関係ない。

と自信を持って言えるなら、自己責任で投票しなくても良いと思う。

 私はまだそれだけの力がないから、自分を守ってくれそうな候補者、政党を見つけて投票するようにしている。

 そのレベルに少しでも近づこうと色々準備はしているが、どのレベルまで到達できるだろうか…

 

 END

 

 ※追記
 思考録4執筆開始。育児について色々考えた。

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