初めて読んだ陸戦の本。
概要
歴史学者・大木毅による独ソ戦の一般向け解説書。
第二次世界大戦の最中展開された大規模陸戦である独ソ戦を、両国の政治的、軍事的背景を交えながら緻密に描き出す。
その上で、長らく通説とされてきた歴史が、意図的に両国によって流布されてきた偽りの歴史であることを暴く。
レビュー
2020年の新書大賞を受賞した本書。
自分は専ら海軍、海戦にしか興味がなく、陸の戦いにはほぼ関心がなかったが、単純に本書は面白そうと思い購入。
一応、ナチス・ドイツにおける第二次世界大戦の流れは大体把握している。
ヒトラー率いるナチス・ドイツが、一時はフランスを含む周辺国を屈服させたが、イギリスとの空中戦ではイギリス空軍に返り討ちに遭い、ソビエト連邦(以降、ソ連)への侵攻では当初はうまくいったものの、ソ連の冬で軍が大ダメージを負い、最後はソ連の反撃を受けて退却、首都ベルリンまで占領されてしまう。
本書はその中でも、ナチス・ドイツとソ連の戦いである独ソ戦に焦点を当てている。
まず、本書を読み終わった直後の感想として、もうちょっと欧州の地理を頭に入れた状態で読みたかったなという後悔が大きかった。
(「銃・病原菌・鉄」でも同じこと言ってた気がする…)
適宜地図を本書内に織り込んで読者に配慮してはいるものの、毎回地図を見返すと読むテンポが悪くなる。
だがそれを踏まえても、本書は十分俺の知的好奇心を刺激してきた。
戦争の悲惨さに優劣をつけるのは道義的にどうかとも思うが、正直、おそらく凄惨さという意味では独ソ戦の右に出る戦争はないのかもしれない。
なぜなら、ナチス・ドイツもソ連も、相手を屈服させるための戦争ではなく、相手を絶滅させることを目的として戦っていたためだ。
「参った」で終わることを想定していない、相手が「参った」と言ってきても相手を根絶やしにするまで続けることを前提としていた。
故に、両国とも戦時国際法をガン無視した蛮行に躊躇なく手を染めていくことになる。
例えば捕虜に関しては、捕虜=死の等式が成り立つレベルで非人道的な扱いを受けていた。
太平洋戦争で、旧日本軍が「捕虜になった者は相手の手にかかって殺されるから、殺されるくらいなら自決しろ」と日本国民を洗脳していったが、独ソ戦ではそれが現実のものとなっていた。
その他詳細は本書にて確認願いたいが、太平洋戦争はまだマシな方だったのかもしれないと思わざるを得ない。
本書をしっかり読みこなすのは難しいが、個人的には多くの人に読んでもらいたい一冊である。
こんな無茶苦茶な戦争が実在していたことを知る事ができるし、いつ起きてもおかしくないし、他人事と悠長に構えていられなくなる。
今後の世界の趨勢を見通す上でも必要な一冊になるだろう。
終わりに
やっぱり書店が近くにほしいとつくづく思う。
いや、徒歩十分圏内にはあるが、一人で書店に行く時間がないし、時間が取れても外に出るのが億劫になっている。
家の隣にでかい書店があったらなあ…
END



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