前回
の続き。
前回に引き続き、オペアンプを用いた演算回路を取り上げる。
ただし\(t\)は時間とする。
微分回路
右図のように、反転増幅回路の入力側の抵抗をコンデンサに置き換える。
この回路の出力電圧\(V_{\text{out}}\)は入力電圧\(V_{\text{in}}\)を利用して、
\begin{align}
V_{\text{out}}=-CR_{\text{F}}\frac{dV_{\text{in}}}{dt}\label{微分1}\tag{1}
\end{align}
と表せられる。
入力電圧の時間微分が出力となるため、この回路を微分回路と呼ぶ。
問題1
微分回路の出力電圧(\ref{微分1})をバーチャルショートを利用して導出せよ。
ただし、オペアンプの入力インピーダンスを無限大としてよい。
解答
微分回路では非反転入力端子が接地されているため、バーチャルショートを適用すると2つの入力端子の電圧がともに\(0\,\text{V}\)になる(図2)。
コンデンサ\(C\)に流れる電流を\(i\)とすると、
\begin{gather}
i=C\frac{d}{dt}(V_{\text{in}}-0)\label{微分2}\tag{2}
\end{gather}
となる。
ここでオペアンプの入力インピーダンスは無限大であるため、反転入力端子に電流\(i\)は流れず、すべて抵抗\(R_{\text{F}}\)に流れる。
よってオームの法則より
\begin{align}
0-V_{\text{out}}=iR_{\text{F}}\quad \therefore V_{\text{out}}=-iR_{\text{F}} \label{微分3}\tag{3}
\end{align}
となる。
よって(\ref{微分2})、(\ref{微分3})より
\begin{align}
V_{\text{out}}=-CR_{\text{F}}\frac{dV_{\text{in}}}{dt}
\end{align}
となり(\ref{微分1})を導出できる。
積分回路
微分回路では反転増幅回路の入力側の抵抗をコンデンサに置き換えた。
今度は反転増幅回路の負帰還部の抵抗をコンデンサに置き換える(図3)。
このとき、この回路の出力電圧\(V_{\text{out}}\)は入力電圧\(V_{\text{in}}\)を利用して、
\begin{align}
V_{\text{out}}=-\frac{1}{CR}\int V_{\text{in}}\, dt\label{積分1}\tag{4}
\end{align}
と表せられる。
入力電圧の時間積分が出力されるため、この回路を積分回路と呼ぶ。
問題2
積分回路の出力電圧(\ref{積分1})をバーチャルショートを利用して導出せよ。
ただし、オペアンプの入力インピーダンスを無限大としてよい。
解答
積分回路では非反転入力端子が接地されているため、バーチャルショートを適用すると2つの入力端子の電圧がともに\(0\,\text{V}\)になる(図4)。
抵抗\(R\)を流れる電流を\(i\)とすると、オームの法則より
\begin{gather}
V_{\text{in}}-0=iR \label{積分2}\tag{5}
\end{gather}
となる。
ここでオペアンプの入力インピーダンスは無限大であるため、電流\(i\)は反転入力端子には流れずコンデンサ\(C\)に流れる。
よって
\begin{gather}
i=C\frac{d}{dt}(0-V_{\text{out}})\label{積分3}\tag{6}
\end{gather}
となる。
よって(\ref{積分2})と(\ref{積分3})から\(i\)を消去して整理すると
\begin{align}
&V_{\text{in}}=-CR\frac{dV_{\text{out}}}{dt}\\
&\frac{dV_{\text{out}}}{dt}=-\frac{1}{CR}V_{\text{in}}\quad\therefore V_{\text{out}}=-\frac{1}{CR}\int V_{\text{in}}\,dt
\end{align}
が得られ、(\ref{積分1})を導出できる。
終わりに
長々とオペアンプについて見てきたが、一旦ここで締めることにする。
次は回路設計においてオペアンプを選定する際のポイント(レール・トゥ・レールなど)をまとめて記事にできればと思う。
END
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