「正しい勉強方法」の正体。
概要
代々木ゼミナール英語講師・富田一彦による試験勉強の心構えを説いた啓蒙書。
前編では対象読者を主に入学試験の受験生に絞り、試験問題を難しくする要因(主に著者のいうところの「雑音」)、試験勉強が報われる苦労をする方向性を示している。
後編では対象読者を受験生だけでなく、指導者(教師、講師)、出題者、受験生の保護者、それ以外の一般の人々にまで広げ、「試験」そのものの意義を提示しつつ、それぞれの立場の人々がどう振舞うべきかが述べられている。
レビュー
きっかけは単純だった。
YouTubeを見ていたら、代々木ゼミナールの英語講座の体験動画がオススメに流れてきた。
そこで実際に講師役として講義を展開していたのが著者だった。
自分としてもわかりやすく影響されていると思うが、その動画にくぎ付けになった。
「大学受験のときにこの人の講義を受けていれば…」
なんてテンプレなたらればを思いつつ、今は目下同じ著者の英文法の書籍を購入して英語のリスキリング中だ。
本書には、正しい試験勉強をするための勘所が詰まっている。
まず試験勉強をする上で踏まえるべき手順が簡潔に3段階で示されている。
詳細は本書を参照願いたいが、その中でも最初の段階である「体系的な知識の習得」が最も大変であり、ここで挫折する者が多い、という主張には首肯せざるを得なかった。
ありきたりな書籍だったら「だからここを超えれば周りと大きく差を広げられるから頑張れ」という根性論で終始するだろう。
しかし著者は、この最初のハードルを越えられない原因は勉強する本人の資質の問題だけではなく、むしろ本人以外の要因が強く影響すると主張している。
それは「試験突破に必要な知識体系を提示できる指導者と出会えるか否か」だという。
考えてみればその通りで、もしその指導者がいない状態で知識体系の習得を始めると、試験突破のためには不要な事項も含めて闇雲に覚えようとする。
そして実際にはそんなことはないわけで、ただその覚えるべき知識の取捨選択は、何も知らない初学者には当然できない。
そこで、受験突破のために必要十分な知識体系を提示できる指導者が必要になるわけだ。
ここに触れて真っ先に思ったのは「現代の電子回路設計を遂行するにあたって必要十分な知識体系を正確に把握し、的確に指導できる人間なんているのか」だ。
私自身電子回路設計を一応生業にしているわけだが、いまだに最初の段階(知識体系の習得)から脱し切れていない。
それは当然で、現代の電子回路設計を遂行するために必要十分な知識体系というものを理解していないからだ。
(もちろんこのことは本書を読んで気づいたわけだが。)
では、その知識体系を正確に把握し、的確に指導できる人間が身近にいるかというと、残念ながらいない。
これも考えてみれば当たり前で、電子回路設計者は回路設計が仕事で、電子回路設計者を育てることが仕事ではない。
受験科目の指導に関しては、そういった知識体系を受験生に授けるのが仕事だから、そのノウハウは(指導者の出来の良しあしで完成度は異なるとはいえ)ある。
とはいいつつも諦めるわけにはいないので、目下そういう人を探しているのだが、まあ見つからない。
見つかるまで頑張るつもり。
本当はまだ書きたいことはある。
「受験」というものに対する世間の風当たりの強さの原因や、それでも「受験」は必要という話。
中高で英語を勉強する目的は「英語でコミュニケーションが取れるようになること」ではない、という話。
小学生が身につけるべき最低限の素養に関して、藤原正彦先生と同意見だった話。
詳細はとにかく本書を読んでみてほしい。
終わりに
つくづく、勉強の本来の姿が見えてくると、学校教育は「運ゲー」だなと思ってしまう。
そして最近は「当たる」確率がますます低くなっているのだと思う。
せめて自分はちゃんとわかっていて、子どもに指針を示せるようになっておかないとと思う。
小学生の学習参考書買ってみようかな。
END


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