【書評】三枝玄太郎「メディアはなぜ左傾化するのか-産経記者受難記-」

書籍

 プロフェッショナルが綴った自伝はやはり面白い。

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概要

 元新聞記者・三枝玄太郎の新聞記者人生回顧録。

 新卒で入社した産経新聞社で記者として携わった事件、事故の詳細、競合メディアや警察をはじめとする各省庁との関わり、失敗談などを赤裸々に綴っている。

 その中で、人材獲得の仕組みにメディアが左傾化する理由があると指摘し、報道姿勢についても苦言を呈している。

レビュー

 本書では産経新聞社の元記者が、ほぼ時系列に沿って自身の記者人生を振り返っている。

 その中で自身が担当した事件や事故の詳細にも触れているが、手柄を自慢したり、偉そうに講釈を垂れることは一切ない。

 むしろ自分の失敗談や、競合他社の記者とのトラブル、取材相手に啖呵を切った話など、新聞記者の裏事情をほぼ余すことなく書いてくれている。

 これが面白い。

 特に警察幹部の前で取材メモを踏みつけて啖呵を切った場面は、小説を読んでいるかのように臨場感たっぷりで読みごたえがある。

 また随所で、こんなクソみたいな人間、組織が実在するんだなと驚かされることも多かった。

 

 印象深かったのは、冤罪が生まれる背景について著者が推察している部分。

 犯罪者とは得てしてロクでもないやつで、捕まってもなお自分の罪を軽くしようと、裁判中に反省するふりを見せる演技をすることはままあるとのこと。

 自分が「死刑絶対肯定論」を思い出したことは言うまでもない。

 歴戦の刑事たちは犯罪者のこうした素顔を嫌でも見てきており、逆に正義感に駆られて自白の強要と言われても言い返せないレベルの取り調べをしてしまうという。

 自分も「死刑絶対肯定論」で犯罪者の素顔を理解している立場として、刑事たちの気持ちがわからんでもない。

 だがこのやり方では確実に冤罪は生まれてしまうし、もうちょっとやりようはないものかと思ってしまう。
 (自分で考えろやと言われたらそれまでなんだが。)

 

 表題のメディアが左傾化する原因についても折に触れて私見を述べているが、表題とするには量が少ないと感じる。

 本の内容から素直に考えれば、表題の主題と副題は逆にするべきだろうが、これは著者ではなく編集担当の判断だろう。

 個人的には後半部分の沖縄事情は「オキナワ論」での話そのものだなと合点した。

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終わりに

 本書を読んで久々に新聞をちょっと読んでみたくなったが、思っただけで終わるのは目に見えている。

 ここ数年は実家か義実家に行かない限り新聞を目にすることはなくなってしまった。

 娘にとっては確実に新聞は過去の存在になる。

 インターネットもいずれ、過去の存在になる日が来るのだろうか…

 END

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