【書評】溝口敦「暴力団」

書籍

 ヤクザの正体。

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概要

 ノンフィクションライター・溝口敦が送る暴力団の解説書。

 「暴力団」とはそもそも何かという話から始まり、稼ぎ方、人間関係、警察との繋がり、現状、出会ったときの対処法まで幅広く解説する。

 また「マフィア」などの海外の犯罪組織との違いや、「半グレ集団」と名付けた暴力団の代替勢力についても触れている。

レビュー

 本書が刊行されて十年以上が経過しているが、大まかな部分、特に基本的な気質に関する解説は現在でも通用するだろう。

 本書には続編もあるが、本書から一年後の刊行で真新しさには欠けているようだ。
今度立ち読みして面白そうなら買ってみることにする。

 

 本書で著者はは犯罪の主役は暴力団から「半グレ集団」に取って代わられると指摘しているが、今になってみると的を射ている。

 「半グレ集団」とは暴力団とは別に組織された犯罪組織の総称と言える。

 関東連合OBもそうだし、いわゆる特殊詐欺グループもこれに分類される。

 しかし今問題視されているトクリュウや、いわゆる「ルフィ事件」の実行グループなどは「半グレ」の域を越えた組織力を有しており、個人的には別のものと判断するべきだろう。

 むしろ一般人を相手にする分、堅気には手を出さないと(表向きには)謳っている暴力団より厄介な存在かもしれない。

 もちろん本書刊行当時はこうした集団は存在しなかったわけだが、著者が彼らをどう見ているかは改めて聞いてみたいところだ。

 

 本書が刊行されてから現在に至るまでに、山口組は分裂し、本家の構成員数は一万人を割り込んだ。

 暴力団は今後ますます弱体化するかもしれないが、日本全国に張り巡らされた情報網は侮れない。

 これをうまく活用できる人物がトップになればわからないが、旧態依然の組織運営ではまずあり得ないだろう。

 たまたまトップとなった人物に情報活用のセンスがあるか、そういった人物をトップに据える仕組みを作る必要があるが、前者は確率的に低いし、後者はもしその仕組みを作ったとしても、その時点でその組織は暴力団ではなくなるだろう。

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終わりに

 俺とは直接絡みはなくて俺が一方的に知っている人(もちろん会話したことないし会ったこともない)に暴力団の人がいたけど、知らない間に逮捕されてた。

 彼の過去を知っているだけに複雑な気持ちだったけど、半分「ああ意外ではないな」とも思った。

 まあ今の生活を続けていれば関わることはほぼないだろうけど、創価学会同様に基本的な情報は知っておいて損はないから、また定期的に読み返したい。

 END

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