【書評】久里健人「その病気、市販薬で治せます」

書籍

 こういう本、欲しかった。

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概要

 薬剤師・久里健人が代表的な市販薬の特性、扱い方について解説した手引書。

 いわゆる風邪薬の解説はもちろん、ダイエット用品や精力剤、発毛剤などデリケートな対象も扱う。

 また、ドラッグストアと薬局の違い、薬品の分類、病院受診の要否判断をする上での考え方など薬に関わる事柄についても詳しく解説している。

レビュー

 生活に直結する新書と期待して購入したが、期待以上だった。

 300ページ近い、新書としてはページ数が多い部類に入る本書だが、無駄な内容は無く、寧ろ市販薬について一般市民が熟知しておくべき最低限の項目が網羅されている。

 

 個人的に、知っていた知識含め有益、あるいは面白いと感じたと思う項目を挙げていくと

・風邪の大半はウイルス性であり、菌にのみ有効な抗生物質は必ずしも必要とは限らない。

・処方箋が必要な医薬品と市販薬の配合成分には差が無い場合が多い。

・鎮痛剤「ロキソニン」は日本発で、逆に海外ではほとんど見かけない。

・漢方薬を服用するには「証」(体質や症状といった体の状態)が明確である必要がある。

・花粉症の鼻症状には点鼻薬が最適。

・「正露丸」は大幸薬品以外からも販売されている。

・発毛効果の高さで選ぶべき発毛剤はほぼ一択に絞られる。

・口臭には「気のせい」あるいは「たまたま」のケースが意外と多い。

・「飲むタイミング」(食前、食後など)の具体的な時間の目安。

・薬の使用期限の目安。

・医薬品副作用被害救済制度の存在。

・頭痛薬の長期連用が原因で頭痛が悪化する無限ループに陥ることがある。

・日本の市販薬の短所「古い、多い、派手」の裏には、製薬会社を縛る「利益確保の必要性」がある。

・ネット販売の方が店頭販売より圧倒的に安い場合がある。

といったところか。

 

 また自戒としておくべき内容としては第6章の『「本当は危険な市販薬」話の危険性』と第7章がある。

 特に第7章では、薬に関する知識不足から起こる現象が多く紹介されている。

 製薬会社が消費者の無知を利用するかのような広告やマーケティングをしている可能性を示唆する記述は必読。

 特に新型コロナウイルス蔓延時と絡めた警告もあり、収束に向かっている今となっては今更な話に思えるが、パンデミック時共通の戒めとしてちゃんと把握しておくべき内容と思う。

 

 ただ、「あとがき」にも書かれているが、市販薬に関して本書で紹介した内容はごく一部であると著者は述べている。

 本書はあくまで市販薬と正しく付き合うための足掛かりであり、今後は(言い方はちょっと悪いが)薬剤師を利用した健康管理が必要になる。

 薬品の知識がほぼ皆無だった自分にとっては耳の痛い話ではあるが、まずはこの本を復読して最低限の内容は頭に入れておくようにしたい。

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終わりに

 かなり久しぶりに未開拓分野の本を読んだが、おそらく理解度は10%ほど。

 何度も読み返すことでモノにしたいが、モノになる未来が見えない…

 とりあえず今は積み重ねが自分の身になると信じるしかないか。

 

 END

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