【関数】ゼータ関数・ガンマ関数

関数

 前回、物理数学で頻繁に登場するガウス関数とガウス積分を扱った。

 今回はまた毛色が異なる関数であるゼータ関数とガンマ関数を見ていく。

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概要

 \(n>1\)について、

\begin{align}
\zeta(x)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{x}} \tag{1}\label{zeta関数}
\end{align}

で定義される関数\(\zeta(x)\)をゼータ関数(zeta関数, zeta function)と呼ぶ。

 また、\(x>0\)について

\begin{align}
\Gamma(x)=\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}dt \tag{2}\label{Gamma関数}
\end{align}

で定義される関数\(\Gamma(x)\)をガンマ関数(Gamma関数, Gamma function)と呼ぶ。

例題1

例題1

 \(x>0\)のとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。

\begin{align}
\int_{0}^{\infty}\frac{u^{x-1}}{e^{u}-1}du=\zeta(x)\Gamma(x)
\end{align}

解説

\begin{align}
\int_{0}^{\infty}\frac{u^{x-1}}{e^{u}-1}du=\int_{0}^{\infty}\frac{u^{x-1}e^{-u}}{1-e^{-u}}du=\int_{0}^{\infty}u^{x-1}\frac{e^{-u}}{1-e^{-u}}du \tag{3}
\end{align}

 ここで、無限等比級数の公式

\begin{align}
\sum_{k=0}^{\infty}r^{k}=\frac{1}{1-r} \tag{4}\label{無限等比級数1}
\end{align}

を次にように変形する。

\begin{gather}
1+\sum_{k=1}^{\infty}r^{k}=\frac{1}{1-r} \\
\sum_{k=1}^{\infty}r^{k}=\frac{1}{1-r}-1=\frac{r}{1-r} \tag{5}\label{無限等比級数2}
\end{gather}

 この(\ref{無限等比級数2})を利用すると、

\begin{align}
\int_{0}^{\infty}u^{x-1}\frac{e^{-u}}{1-e^{-u}}du=\int_{0}^{\infty}u^{x-1}\left(\sum_{s=1}^{\infty}{e^{-su}}\right)du=\sum_{s=1}^{\infty}\int_{0}^{\infty}u^{x-1}\,e^{-su}du\tag{6}
\end{align}

となる。

 さらに変数変換\(t=su\)を行い、(\ref{zeta関数})、(\ref{Gamma関数})を使うと、

\begin{align}
\sum_{s=1}^{\infty}\int_{0}^{\infty}u^{x-1}\,e^{-su}du &=\sum_{s=1}^{\infty}\int_{0}^{\infty}\left(\frac{t}{s}\right)^{x-1}\,e^{-t}\frac{dt}{s}\\
&=\left(\sum_{s=1}^{\infty}\frac{1}{s^{x}}\right)\left(\int_{0}^{\infty}t^{x-1}e^{-t}dt\right)=\zeta(x)\Gamma(x)\tag{7}
\end{align}

となり、左辺が右辺と一致する。

例題2

例題2

 \(\displaystyle{\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)}\)を求めよ。

解説

 (\ref{Gamma関数})より

\begin{align}
\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\int_{0}^{\infty}t^{-1/2}e^{-t}dt \tag{8}
\end{align}

となる。

 ここで、\(t=x^{2}\)として置換積分する。

 このとき、\(dt/dx=2x\)より\(dt=2xdx\)となり、積分範囲は変わらないため

\begin{align}
\int_{0}^{\infty}t^{-1/2}e^{-t}dt =\int_{0}^{\infty}x^{-1}e^{-x^{2}}\cdot 2xdx =2\int_{0}^{\infty}e^{-x^{2}}dx \label{gamgau1}\tag{9}
\end{align}

となる。

 ここで、被積分関数\(e^{-x^{2}}\)は偶関数であるため(\ref{gamgau1})は

\begin{align}
2\int_{0}^{\infty}e^{-x^{2}}dx=\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^{2}}dx \tag{10}\label{gamgau2}
\end{align}

となる。

 (\ref{gamgau2})の右辺はガウス積分そのものである。

 よってガウス積分の結果をそのまま利用すれば、

\begin{align}
\boxed{\displaystyle{\Gamma\left(\frac{1}{2}\right)=\sqrt{\pi}}} \tag{11}
\end{align}

となる。

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終わりに

 上記で見てきたもの以外にも、ゼータ関数、ガンマ関数は面白い性質をいくつか有している。

 ここでは触れるつもりはないが、気が向いたらもう少し掘り下げてみようと思う。
 (これはやらないパターン。)

 

 END

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