【書評】島田裕巳「創価学会」

書籍

 名前だけはよく知ってるやつ。

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概要

 宗教学者・島田裕巳による、日本有数の宗教団体・創価学会の解説書。

 創価学会関連の書籍のほとんどが、基本的に礼賛か批判のいずれかに内容が偏る中で、本書はあくまで中立的な立場から創価学会とは何たるかを解説することを目指している。

 創価学会の歴史、公明党結党の経緯、名誉会長・池田大作の実像を丁寧に紐解き、学会員が熱心に学会活動を展開する理由を考察する。

レビュー 

 「創価学会」という名前は知りこそすれ、その実態はほとんど知らなかった。

 ただ「宗教団体」というだけでなるべく忌避し、その名が入った本にもこれまで見向きもしなかった。

 ただ今回、新書大人買いを決意した際に本書が目に留まり、巷のレビューも考慮した結果思い切って本書を購入。

 初めて宗教団体についてしっかり勉強して、改めて思った。

 やはり、何も知らないより少しでも知っている方が何倍もマシだ。

 得体の知れないものに対する恐怖心、気色悪さ、不安を払拭するには、少しでも「知る」しかない。

 

 本書で創価学会の宗教性、公明党の正体、学会員の信仰背景など、自分が知っておきたかったことのほとんどを把握できたと思う。

 特に学会員の信仰背景、なぜ学会員は結束が固く、学会活動に熱心である理由については唸らされた。

 戦後、創価学会が急速に勢力を拡大した背景には、都市下層の庶民の取り込みの成功があった。

 高度経済成長期に、第二次産業、大三次産業の都市部での発展に伴い人手不足となった。

 これに目を付け、農家の次男、三男など家業を継げない人が地方から都市へ流入してきたのは多くの人が知るところだろう。

 しかし、学歴を持たない彼らの主だった就職先は零細企業で、労働組合などの従業員を守る組織も無い。

 また都市部に出てきたばかりで周囲のネットワークにも参画できておらず、いつ社会から分断されてもおかしくない状況だった。

 創価学会は、こういった都市下層の庶民の不安につけこんだ。

 都市下層の庶民を入会させることで、都市下層庶民同士の相互扶助ネットワークを学会内で構築し、彼らの不安を払拭していった。

 入会させた都市下層庶民の社会的不安を取り除いたことが、学会員の熱心な活動に結びついていったわけだ。

 

 当時と現在では社会情勢は異なるが、非正規雇用者や独居高齢者など現代特有の社会的不安定者は存在する。

 創価学会はこういった人たちを折伏(勧誘)の対象にしてくる可能性がある。

 本書では、最近敬遠されがちなPTAや地域役員などに自ら立候補し、そこを足掛かりとして、地域にやって来たばかりで周囲とネットワークを持たない主婦をターゲットに勧誘活動をする学会員の存在にも触れている。

 こういった人の不安につけこむやり方は、創価学会に限らず他の宗教団体も同様だろう。

 まんまとつけこまれないためには、不安を自分の力で払拭するしかない。

 そして不安を払拭するには、不安の原因と対処法を知ることが一番なのだ。

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終わりに

 最近、通勤電車で死んだように眠ることが多くなってきた。

 貴重な読書時間なのだが、読み始めても睡魔に勝てない。

 眠気は体の警告と捉え、できる限り素直に従うようにしているが、本を読み進めたい思いもある。

 眠らなくても疲れない体が欲しい…

 

 END

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