前回
にて、第二種電気工事士の筆記試験について書いた。
今回はこれに続き、技能試験の受験対策と受験当日の様子についてまとめる。
技能試験の概要
筆記試験を通過した合格者は技能試験を受験し、これに合格すると晴れて第二種電気工事士の資格を取得することができる。
技能試験はその名の通り、所定の工具を使って各器具をケーブルで接続し、指定された回路を実際に作り上げる試験である。
事前に候補問題の13問が提示され、実際の試験ではそのうちの1問が出題される。
試験時間は40分で、作り上げた施工作品に欠陥が1つも無ければ合格となる。
工具は持参する必要があるが、電動工具以外は基本的に何を使っても良い。
ケーブルや器具などの材料は当日に会場で支給される。
工具・練習用の材料・テキストの準備
技能試験の対策は「手を動かすこと」これに尽きる。
つまり実際に使う工具と材料を使い、候補問題の回路を作って練習をするのである。
そのためには何より工具と練習用の材料、施工方法や欠陥の詳細などが記載されたテキストを準備する必要がある。
工具に関しては先ほど電動以外はなんでもOKと書いたが、実際には「指定工具」というものがあり、それを使わないと作業できない工事もある。
よって、工具はその「指定工具」を一式揃えるのが無難である。
揃えると言っても難しいことはなく、既に第二種電気工事士用の工具セットが複数種販売されているので、自分好みのセットを選んで購入すればよい。
自分は下記の工具セットの中古品をメルカリで購入した。
出品者が3年前に購入したものであり、そこそこの使用感はあったものの問題なく使えた。
自分は工具費をケチるために中古品を買ったが、万全を期したい場合は新品を購入するのが望ましいだろう。
続いてケーブルや器具などの材料だが、最低限、候補問題全13問×2セットは用意しておくべきだろう。
と言っても器具類は基本再利用できるため、2セット目は消耗品だけ揃えればよい。
自分の場合、1回分は前回紹介した下記の通信講座
に既に含まれていたため、残り1セット分の消耗品を別個で用意した。
実際に購入したものは電線セット、リングスリーブ(小)、ゴムブッシング(小)、ゴムブッシング(大)、ねじ無し電線管用止めネジの5つ。
上記以外の消耗品にリングスリーブ(中)があるが、予備含めて通信講座に付属していたもので2回分まかなえたので追加購入していない。
ここで、これら工具や材料の購入時期について触れておきたい。
単刀直入に言うと、購入時期は早めが良い。
できれば学科試験の前、学科試験をパスできる見込みが立った時点で購入する方が良いだろう。
なぜなら学科試験の合否発表後は、学科試験合格者がこぞって工具や材料を注文し、売り切れが続出するためである。
また学科試験前に一式揃えておけば、学科試験終了直後から技能試験対策に取り組むことができる。
自分も実際に学科試験の前に工具を購入し、学科試験終了後に自己採点をして合格の見込みが立ったことを確認した後に技能試験の対策に入った。
最後にテキストに関してだが、自分は上記通信講座に含まれていたものをそのまま利用した。
自分でテキストを選定する際は、実際に自分が受験する年度版を購入するのが無難だ。
候補問題の13問は長年変わっていないが、名目上は年度ごとの候補問題として公表されており、ある年度で問題が変わる可能性はゼロではない。
仮に古い年度版のテキストを使う際は、掲載内容が電気技術者試験センターで公表されている候補問題と同じであることを確認しておくべきだろう。
練習の実際
ここからは実際の練習についてまとめる。
まずスケジュールだが自分の場合、平日は時間が取れないので「土日に2問ずつ練習する」といういたってシンプルなものにした。
学科試験から技能試験まで約2ヶ月間あるので、学科試験終了直後から上記ペースで進めれば13問を2セットは確実にこなせる。
最初の内は工具の扱いにも慣れてないので、時間は気にせずに正しく作品を作ることを意識した。
自分が活用したのはHOZANがYouTubeで配信している解説動画だ。
1動画につき1問、全13問分をフルで解説しているので初心者にもわかりやすい。
自分は最初の2問分をこの動画を見ながら練習した。
意外にも2問分しっかり練習すれば慣れてきて、3問目以降は動画は見ずに、時間を計りながら試験時間40分を意識して練習を開始。
やってみるとわかるが、40分は結構短く、最初は時間オーバーすることはザラだ。
だが練習を続けるうちに徐々に自分のやり方が確立され、最終的には30分以内で施工が完了できるようになった。
ちなみに、自分が練習で犯したミスを具体的に上げると、
・ケーブルの切断長さを間違えた。
・ランプレセプタクルと丸形引掛シーリングを逆にした。
・リングスリーブと差込型コネクタを逆にした。
といったところ。
試験本番
当日の持参物は受験票、筆記用具、工具、時計、タオル、絆創膏。
時計はアナログの腕時計で十分(むしろ余計な機能は無い方が良い)であり、試験室に時計が無い場合があるので必須で用意しておく必要がある。
(実際に自分が受験した際にも試験室に時計は無かった。)
タオルは夏場の試験であることを考慮し主に手汗拭き用として、絆創膏は万が一試験中にケガをした際に対処できるように持参した。
試験当日には、試験開始時間の40分前が集合時間として設定されている。
(なぜ40分も前なのかは後述。)
自分はこの集合時間の30分前には会場に到着するようにした。
建物の外では誘導員が試験室の案内を配布しており、その案内と受験番号を照合して、自分の試験室へ向かう。
集合時間までは基本自由時間であり、お手洗いなどもこの間に済ませる。
ただしお手洗いは集合時間近くになると込みだすので、早めに済ませておくのが吉。
集合時間になると監督員による試験の説明が始まる。
集合時間から5分後には会場の入退出が完全に禁止されるので、遅くともこの時間までには到着する必要がある。
また集合時間から試験開始までの間、保護板(会場の机をキズから守るためのボール紙)やメジャーを固定する行為は禁止されており、破った場合は失格扱いとなる。
試験説明後に受験票が回収され、監督員間で確認作業が実施される。
その後、問題冊子が配布される。
試験開始まで問題冊子を開いてはならないが、実際は表紙の裏が透けて見ることができ、配線図から問題内容をある程度把握できるため、この段階で施工のイメージをしておくと良い。
次に材料が入った箱が配布され、試験開始時間の12分前になると受験者が自ら配布された材料を10分間で確認する。
この10分間では主に、問題冊子の記載内容と実際の材料が合致しているか、材料に破損などがないかの確認と、箱に同梱されている受験番号札に受験番号と氏名の記入をする。
この時間に材料に細工をする(ねじを緩めるなど)ことは禁止だが、メジャーを使ったケーブルの長さ確認はOK。
材料確認時間が終了すると、2分のインターバルを経ていよいよ試験開始となる。
こういった感じで、試験開始までに監督員が済ませるタスクが結構あるので、集合時間は試験開始の40分前に設定されている。
試験開始のアナウンスとともに作業開始。
ここからはひたすら時間との勝負である。
時折時間をチェックしながら作業を進め、作品を作り上げていく。
作業時に出た廃材は、材料箱に同梱されていたビニール袋に集める。
また試験時間中に顔写真との照合が行われる。
終了時刻になるとアナウンスが入り、作業ストップを命じられる。
全員の作業停止を確認した後、工具類の片づけ、受験番号札の取り付け、廃材と材料箱の処理の指示を受けるので、指示通りに処理する。
その後に退出となるが、一斉退出ではなく、監督員が指定した列から順番に退出となる。
退出直前に監督員から退出票を受け取り、試験室の出口にいる別の監督員に退出票を提出して、晴れて退出となる。
技能試験の所感
さてここからは実際に技能試験を受けた所感を書いていく。
まず試験本番の作業スピードだが、やはり練習よりは遅くなり、確認時間は5分も取れなかった。
原因は主に
・作業スペースの狭さ
・ケーブルのシースと電線の絶縁被覆の摩擦の強さ
の2つである。
自分が指定された受験会場は大学で、試験室は大学の講義室だったが、あてがわれた席が3人連結タイプの狭い机で、作業スペースの確保に苦心した。
ただでさえ狭いのに加え、さらに作業スペースを減らしたのが材料箱だ。
材料箱だけで作業スペースの1/3を占拠するので、かなり手狭なスペースでの作業を強いられた。
これは自分に限ったことではなく同じ試験室にいる受験者全員に当てはまるので条件は平等ではあるが、より狭いスペースで練習しておくべきだったと思っている。
またケーブルのシースと電線の絶縁被覆の間の摩擦が強すぎて、シースを剥ぎ取るのに手こずったのも時間のロスに繋がった。
こればかりは対策が難しいが、練習の段階でなるべく早く施工を終わらせる状態にしておくしかないだろう。
自分に関しては練習段階では30分で施工まで完了できていたが、本番では35分以上かかってしまったため、やはり30分は1つの目指すべき目標になるだろう。
試験後
試験終了から約3週間後、インターネット上で結果速報が配信される。
そこから1週間ほどで、書面での結果通知書の郵送が開始される。
通常は郵送開始日から1日、2日で受験者に通知書が届くらしいが、実際には郵送開始日の約1週間後に届いた。
(遅くとも1週間で届くらしいので、予定通りと言えば予定通り。)
もし1週間過ぎても届かない場合は、電気技術試験センターが指定している「試験結果通知書の未着申出期限」(令和5年度上期の場合は9/12)までにセンターに問い合わせる必要がある。
終わりに
一つ、大きな肩の荷が下りたのは嬉しい。
これで大分余裕が出たが、出たら出たで別のところに手を出してくなってくるのは困りもの。
統計検定辺りどうだろう…
END
コメント