前回
の続き。
第2章
第2章では、株と同じくギャンブルの性質を持つ宝くじと生命保険、医療保険に焦点を当てた話をしている。
ざっくりまとめるとこんな感じ。
宝くじ
・宝くじは国家の独占事業であり、購入代金の内で賞金になるのは半分だけで、もう半分は地方自治体に分配される(いわば税金)。ゆえに「愚か者に課せられた税金」と呼ばれる。
・1等当選確率は1年間で交通事故に合う確率より低く、これに大金をつぎ込む人は投資に向いていない。
・宝くじが金融商品だったら、販売元はその性質(当選確率やリスク等)を購入者に説明する義務が法律で定められている。しかし、実際は国が主導して国民の射幸心を煽り、宝くじを購入させようとしている。
生命保険
・生命保険は、「死ぬ可能性が低い加入者」が死ぬと大金が転がることから「不幸の宝くじ」とも言うべき存在である。
・日本の場合、一家の大黒柱が死んだとしても両親や兄弟など基本的に子どもの引き取り手には困らないし、国民年金や厚生年金から遺族年金も支払われるから完全な無一文になることはまずないから、生命保険が本当に必要な人はそこまでいない。
・「掛け捨ては損」と言うが、宝くじで例えるなら「宝くじが外れたのに購入代金が戻ってこないのはおかしい」と嘆くのと同じで、全くの見当違いである。なら最初から買わなきゃいい話。
医療保険
・正しい意味での医療保険は、日本では国保しかない。
・よく巷できく「入院期間に応じて定額の保険料が支給されるもの」は厳密には医療保険ではない。が、ここでは便宜上上記の内容の保険を医療保険と呼ぶことにする。
・医療保険の本質は所得保障保険であり、年金受給者には不要。
・そもそも医療の進歩で、入院日数が1ヶ月を超えるような疾患は脳血管疾患や精神疾患などに限られる。
これらの内容を述べた上で、著者は金融商品は理不尽な買い物であるとし、資産運用の原則を以下の4つにまとめている。
①確実に儲かる話はあなたのところには絶対に来ない
橘玲「臆病者のための億万長者入門」
②誰も他人のお金のことを真剣に考えたりしない
③誰も本当のことを教えてはくれない
④自分の資産は自分で守るしかない
要は、宝くじ、生命保険、医療保険に手を出しても何も意味はない。
資産運用時には、うまい話が出てきても絶対に飛びつかず、懐疑的になることが大事だ。
これは個人的には賛成で、証券会社や保険会社の話には耳にしないと決めている。
第3章①
本章でいよいよ株式投資を扱う。
全部書くと長くなるので、第3章は2部構成で進める。
まず、著者は「現在の株価が割安か割高かを判断する方法」を提示している。
ぶっちゃけ本筋とはあまり関係ないのだが、読んでいてなるほどと思ったのでまとめることにする。
(飛ばして第3章②に進んでもよい。)
株価が割安か割高かは、株の魅力度を表す指標「PER」の値と株の発行元の成長率で判断する。
PERは次式で定義される。
\begin{align}
\text{PER}=\frac{\text{株価}}{\text{EPS}}=\frac{1}{\text{金利}}
\end{align}
EPSは一株当たりの純利益(純利益を発行株式数で割った値)であり、EPSが高いほど利益をたくさん上げていると考えてよい。
よって、投資家にとってはPERが低い株の方が魅力的に映る。
投資家はPERが低い株を買って、PERが高い株は売り払ってしまう。
結果、売り払われたPERが高い株は、株価が下がってPERも下がる。
このように、合理的な投資家の行動によってPERが高い株は淘汰されていき、最終的にはどの株でもPERは等しくなっていく。
この現象を「市場の裁定」と呼ぶ。
こう考えると、PERが高い株の運命は下記の2択になる。
・利益(EPS)が上がってPERが下がる。
・株価が下がってPERが下がる。
PERが高くても、その企業、ないし国が成長著しい場合はPERが下がる可能性があるから、保有に適した株と判断す人が多いだろう。
逆に、PERが高く、企業ないし国の成長の兆候が見られない場合は、市場の裁定によって株価が下がり、PERがさがる。
とどのつまり、
成長兆候あり。 | 成長兆候なし。 | |
PERが低い。 | 株価割安(買い時の可能性大。) | 注意(PER↑の可能性あり。) |
PERが高い。 | 不透明(株価↓ or EPS↑) | 株価割高(株価↓の可能性大。) |
ということ。
PERが高いかつ、株の発行元の成長兆候がない場合は要注意である。
下記に続く。
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